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アマゾンの火災に対するブラジルの対応はいつも通り〜どうして火災は起きた?〜

AFP=時事通信

アマゾンの森林火災が問題となってから約2週間が経ちました。
これまでのアマゾンの火災に対する一連の動きをまとめました。

アマゾンの森林火災

アマゾンの森林火災は今回が初めてではありません。
しかしほとんどは人為的な要因によって引き起こされるものです。

今回の火災がなぜ取り立てて話題になったのかというと、記録的な数の火災がアマゾンで起きたからです。
INPE(ブラジル宇宙研究所)の人工衛星データによると、昨年の同時期に比べて85%増加したそうです。
1月に大統領がボルソナロ氏に変わってから急激に火災が増加したのです。
また、ボルソナロ氏の消火活動に消極的な態度が国際的な非難を煽る結果になりました。

ブラジル大統領ボルソナロ

彼は自国第一の政策を行い、ブラジルのトランプと言われています。
自国の利益ばかり優先する政策で、彼は環境保護に対して興味を示さず開発を最優先にしてきました。
また彼は、農地や牧草地、鉱山の開発を後押しする一方で、違法伐採を監視する政府機関の予算を削減しています。
この政府の政策によって、森林伐採を容認したと受け止められ、違法伐採や野焼きの増加につながりました。

さらに彼は、フランス主導のG7からの支援を断るなどして、大きな波紋を呼んでいます。

NGOに責任転嫁

彼の政策や、消火に対する対応の遅さは多くの非難を呼びました。
環境NGOのObservation do Climeの代表カルロス・リトルは、ボルソナロ大統領の開発優先の態度が農家などの放火を促進したのかもしれないと批判しました。
その批判に対して、ボルソナロ大統領は「NGOがブラジル政府のイメージダウンのために放火をした可能性があると」発言しました。
ブラジル政府はNGOへの補助金を削減しており、資金を失ったNGOが資金集めのためにやったのだと彼は言います。

この発言は大きな波紋を呼びました。

INPE(ブラジル宇宙研究所)所長解任

INPEの森林火災の最新情報を軽視したことが今回の森林火災につながったという懸念に対して、
怒りをあらわにしたのがINPE所長解任です。

ボルソナロ大統領は今回の火災増加について、「ケマイダ」と呼ばれる焼畑の季節だから増えていると主張しました。
しかし、INPEは今年の火災件数は乾季に報告される基準を超えていると指摘しました。
それに対してボルソナロ大統領は、INPEの所長リカルド・ガルヴァンは嘘をつき政府に損害を与えようとしているとして
INPEの所長を解雇しました。

ブラジルの対応に対する批判


(出典:アマゾン森林火災は「国際的危機」、マクロン仏大統領が警告

これを見てわかるように、明らかにボルソナロ大統領就任後に急激に森林伐採が増えていることがわかります。

また、科学者が衛星画像から数ヶ月前に切り倒された場所と、火災の発生場所を照合したところ、
現在起きている延焼中の火災のほとんどは、木が伐採された場所と一致していると報告されています。

さらに、伐採された森林を焼くと以下の特徴があるようです。
・高温で長時間燃えるため、上昇気流が発生し燃えかすを大気中に撒き散らす。
・乾燥しきった大量の木を燃やすため、分厚い煙が空高く出現する。
この両方の特徴が、今回の火災では見られるため、森林伐採が火災の原因なのは明らかなのです。

ブラジルの否定はいつも通りだった…

またブラジルは、フランスのマクロン大統領と地球温暖化に取り組むと約束をしていました。
そのためボルソナロ大統領の消極的な態度は、マクロン大統領から嘘つきと批判されました。
そのマクロン大統領の発言をきっかけに、両国は対立することになります。

この対立のせいもあって、ボルソナロ大統領はフランス主導のG7からの支援や国債的なNGOの意見を内政干渉だとして批判します。
この態度は、前任者通りの態度で、ブラジルはアマゾンの火災に対してはこのような否定的な態度を代々取ってきたのです。
この火災の問題が世界に注目された後も、彼の支持率は60%を超えていました。

ロビイストでブラジル政府の元通商担当高官だったウェルバー・バラル氏は、「アマゾンの支配権を外国人に奪われかねないとのボルソナロ氏のナショナリズム的思考のために、皮肉にも、森林火災は同氏の支持率を上げたかもしれない」と述べた。(出典:アングル:アマゾン火災、ブラジル国内では大統領批判少なく

このように国内での人気を保つ一方で、
国内の有力な農業者は「ブラジルの対外イメージ悪化によって商品の輸出に影響が出るのでは」と考え、
ボルソナロ大統領に論調を変えるよう求めています。

まとめ:今後はどうなる

米国のアパレルブランドの一部では比較の取引を一時停止するなど、ブラジル国内の企業にも影響が出始めています。
また今後は、農家の声がどちらに傾いていくかによって大統領は態度を変えざるを得なくなるかもしれません。

私たちにできることは、責任のある商品の選択をすることです。
日本のメディアでは、アマゾンの火災はあまり取り上げられていないので知らない人が多いかもしれません。
多くの人がこれを認知することによって、火災問題への意識が高まり大きな運動を生みます。
なので、火災問題への声を上げていくことも大事なのです。

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今回の参考記事

参考記事:アマゾン森林火災は「国際的危機」、マクロン仏大統領が警告
参考記事:アングル:アマゾン火災、ブラジル国内では大統領批判少なく
参考記事:アマゾン火災 欧州・ブラジルの対立、経済にも波及