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アマゾンの森林は地球の肺ではなかった!?それでもアマゾンを保全するべき理由

2019年8月森林火災が大きなニュースになりました。
SNSなどで「アマゾンは地球の肺だ」という表現をよく見かけました。
ですが、実際はアマゾンは地球の肺ではないと言うのが研究者の中では常識だそうです。
そんなアマゾンをなぜ守るのか?そこにはそれでも守るべき理由がありました。

アマゾンの基本データ

  • 大きさは550㎢です。これは日本の国土の約15倍にあたります。
  • 4〜10月は乾季で、乾季と雨季の水位の高低差は平気8メートルにも及ぶそうです。
  • 地球上の熱帯雨林の半分はアマゾンと言われ、先住民が100万人暮らしています。
  • 流域面積世界1位のアマゾン川を有しています。
  • アマゾンの森林を有するのはブラジルやペルー、コロンビアを代表とする南米7カ国です。

アマゾンは地球の肺ではなかった!?

多くの人が地球上の酸素の20%をアマゾンが生み出していると言います。
今回のアマゾンの森林火災に対する言及の中に、この表現をするものが多く見受けられました。
私たちは勘違いをしているようです。

アマゾンはCO2も出す

まず大きな勘違いの一つとして、アマゾンは酸素を出すだけでなくCO2も同時に出しています

  1. 森林は昼は光合成を行い、光合成に必要な太陽がない夜は、エネルギーを作るために酸素を消費します。
  2. 森林では、菌類が有機物(生き物の死骸など)を分解します。その時にも酸素が消費されCO2が排出されます。
  3. 森林には動物が住んでいます。全体のCO2の排出量と比べると微量ですが、呼吸によってCO2を排出しています。

つまりアマゾンでは、酸素と二酸化炭素の収支はゼロなのです。

英オックスフォードの学者によると熱帯雨林は陸上の光合成の34%を担っているそうです。
アマゾンは陸上で生産される酸素の量16%を生産していることになりますNGC

海洋の植物プランクトンによる酸素の蓄積

地球の7割は海です。その広大な海に住む植物プランクトンもまた光合成と呼吸をしています。
我々が普段呼吸する時に消費している酸素は、何十億年もかけて植物プランクトンが蓄積してきた酸素だと言われています。

ではなぜ海では、森林とは違って酸素が蓄積されるのでしょうか?
陸上では、森林の中で酸素が生産されますが先ほど述べた通り、酸素の収支はゼロなのです。
ではなぜ海では収支がゼロにならないか。
それは死んだ有機物(プランクトン)が分解される前に海底に閉じこめられる時に、
その有機物を分解するのに必要な酸素が余ることになるからです。
こうして酸素は蓄積されてきました。

こうした海洋の酸素生産量も含めると、アマゾンは全体の生産量の9%を生産していると言われています。

それでもアマゾンは保護すべき人類の宝

それでもアマゾンは保護しなくてはならないと言われています。なぜでしょう?
アマゾンを守る目的が、我々の酸素を20%も生産しているからと言うのは間違っていて、他に守らなければならない理由があるのです。

  1. 炭素の貯蔵庫
    アマゾンは大気中のCO2の吸収に大きく貢献している。
    また我々人類が毎年待機中に排出しているCO2の10倍に等しい量を蓄えているので、
    少しずつ放出されていたのが一気に排出され、毎年人類が排出する25%を吸収しているアマゾンを失うと
    急激な地球温暖化の促進につながる。AFP
  2. アマゾンは生態系の宝庫
    アマゾンには地球の半分の動物と植物が生息していると言われている。
    4万種の植物、1300種の鳥、3000種の魚、430種の哺乳類、250万種の虫が確認されていて、
    まだ発見されていない動物も多くいる。
    またアマゾンに住む生物は、森林火災に適応していないため多くの動植物が焼かれてしまう。
  3. アマゾンはそこに住む人や動物にとっての重要な生活基盤
    アマゾンには100万人の先住民が住んでいる。
    彼らはアマゾンの森から多くの食料や、医薬品となる薬草などを採っていて、
    森林がなくなればそれらがなくなってしまう。
    またアマゾン盆地には3000万人の人が住んでおり多くの人が森林消失の影響を受けることが予測される。
  4. アマゾンは降水サイクルの安定装置
    光合成中の葉の裏側から出ている水蒸気が雲のもとになるそうです
    つまりアマゾンに降る雨の多くは、アマゾンの森林から生じていて森がなくなれば降水量は減り、乾燥してしまいます。
    そのまま行くと森林の回復不能点に達してサバンナ化してしまうかもしれません。

またそれだけでなく、ナッツや茶葉、バナナやコーヒー、砂糖などの原産地でもあります。
アマゾンの消失は、我々の生活にも大きな影響を与えることになります。

環境問題的にも、我々の生活にも大きく関わってくることなのです。

火災に対応していないアマゾンの生物

2013年カリフォルニアで大規模な森林火災がありました。
この火災地域では自然現象として火災が起こりますが、2013年の時は人間が原因でした。
こう言った自然に火災が起こる場所では、火災が生態系を維持するサイクルの1イベントとして組み込まれています。
また、そのため多くの動植物が火災に対応しています。NGC:山火事後はそのままに、伐採は悪影響

ですが、アマゾンにおける火事は健全な生態系維持の重要な役割の内に入っていません。
なぜなら、アマゾンで起こる森林火災はほぼ人為的なもので、自然現象とは呼べないからです。

アマゾンには多くの、小動物や動きの遅い動物がたくさん生息しています。
火災中での被害はこうした動物が逃げ遅れることによって焼死してしまうことです。
例えば動きの遅いナマケモノやアリクイ、体の小さなカエルやトカゲ、他にも多くの昆虫も逃げ遅れてしまうでしょう。

そして火災後は、空を覆っていた樹木も多い茂っていた草木もなくなり、
生き残った小動物も捕食者の猛禽類などの格好の狩りの標的になってしまいます。
障害物のなくなったアマゾンは、捕食者たちの最高の狩場になってしまうのです。

先住民も森を焼いていた〜現在との違いと森との共生〜

現在アマゾンでは、農業などのために違法に森が焼かれることが多くあります。
森の一部を完全に焼き払ってしまうため、残るのは焼け野原です。

ですが先住民も、昔からアマゾンを焼いてきました。
農業のために火を使って林床焼き払っていたのです。

何が違うのか

現在は完全に焼き払ってしまっています。
ほとんどの木は樹皮が薄くて、根が浅いので炎に耐えることができません。

ですが、先住民は生きた木々が残るように森を焼いていました。
また彼らは下草や低木を燃やしていました。
これは弱い野焼きによって燃えやすい植物が燃え、
炎が広がるのを抑え大きな森林火災を防ぎ、森を管理していたのではないかと考えられています。

ヨーロッパ人の入植後


新世界に上陸するコロンブス(出典:コロンブスの町、崩壊の原因は壊血病か/NGC

ですが今から約500年前にヨーロッパ人が入植してからは、軽い野焼きは行われなくなりました。

それもそのはず、ヨーロッパ人の持ち込んだ疫病によって95%の先住民は死んでしまったのです。

そうして、アマゾンの森は管理されなくなり燃えやすい森に戻ったのではないかと考えられます。
現在はそういった森がアマゾン全体の3%あり、それが触媒となって隣接する年老いた森林まで燃やしているのです。

要因は他にも〜分割された熱帯雨林〜


(出典:アマゾン火災 欧州・ブラジルの対立、経済にも波及

森林伐採によって道や農地ができが上がると、
それによってアマゾンはどんどん分割され、小さな熱帯雨林の集合体になってしまいます。

すると何が起こるでしょう?
アマゾンに道や農地と接する「ヘリ」の部分がたくさんできます。
熱帯雨林の内部は暗く湿度も高いですが、ヘリの部分は湿度が大幅に落ち気温が急上昇します。

湿度が下がると菌類が減り、落ち葉などの分解が進まなくなります。
そうしてそのまま残った落ち葉が枯葉となり、どんどん燃えやすい森になっていくのです。

まとめ

「アマゾンは地球の肺」というのは、そもそもおかしくて、肺だと二酸化炭素を出す存在になってしまいますね。
ですが、我々が生命活動を維持するのに重要な肺は、地球にとって重要なアマゾンを比喩したものだと思います。
また「地球の肺」という強烈なイメージは、森林保全に大きな貢献をもたらしたと思います。

考え方の誤解に関する記事でしたが、アマゾンを保護しないといけないことに変わりありません。
ここでアマゾンの保護に関して再確認していただけたら幸いです。

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<関連記事>アマゾン森林保全 ~火災に取り組む「レティシア協定」~ 南米の関係各国が署名

参考記事(上記未掲載分)

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