サステナビリティ経営 企業

企業のサステナビリティ経営分析(炭素排出量)ー味の素株式会社2020年

味の素株式会社のサステナビリティ経営分析(炭素排出量編)

炭素排出量の概要

味の素株式会社のスコープ別CO2排出量推移

排出量の割合を見てみると、スコープ3の排出量が大部分を占めています(約85%)。
また排出量の推移を見てみるとスコープ1, 2において、排出量は減少傾向にあります。しかし、スコープ3に関してはほぼ横ばいです。

味の素株式会社の2030年に向けた脱炭素の目標

味の素株式会社では、脱炭素に関連する目標を以下の2つ定めています。
1. 2030年度スコープ1、2の温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減する
2. 2030年度スコープ3の温室効果ガス排出量を2018年度比で24%削減する

各目標による想定される脱炭素効果を算出する

味の素株式会社のスコープ別CO2排出量推移と目標

2018年度の同社のスコープ1, 2の排出量は約2,212.7千トンでした。そのため、50%の削減を達成すると約1,106.3千トンのCO2排出が削減される計算です。これは、日本人の平均的な年間CO2排出量が8.7トン(※)なので12.7万人分の削減に相当します。
※世界銀行のデータより
また、目標2に関しては2018年度の同社のスコープ3の排出量は11,933.2千トンでした。そのため、24%が削減されると2,864.0千トンが削減される計算です。これは日本人33万人分の排出量を削減することに相当します。
上記より、同社の目標が2つ達成されると日本人45万人程度のCO2排出量を削減されることが期待できます。

年度スコープ1+2スコープ3
20182,212.6911,933.27
20191,973.6911,821.56
20201,910.6011,787.71
2030(目標)1,106.359,069.29
味の素株式会社のスコープ別CO2排出量の推移と目標値(単位:千トン)

目標に向けた活動

スコープ1、2の温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減する

スコープ1, 2の排出量の削減を進めていくために、内部カーボンプライシング制度の導入や、省エネ、再エネの利用、環境負荷の少ない燃料への切り替えをおこなっていく予定です。

スコープ3の温室効果ガス排出量を2018年度比で24%削減する

スコープ3の排出量を改善するために原料サプライヤーへの温室効果ガス削減への働きかけなどを進めていく予定です。

目標別の実績検証

スコープ1、2の温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減する

味の素株式会社のCO2削減量実績と目標(スコープ1, 2)

目標は「2030年に、スコープ1,2の温室効果ガス排出量を2018年比で50%削減する」です。この目標を達成するためには毎年92.2千トンの削減量が必要で、計算上は2020年の段階で8.33%の削減が達成されている想定でした。

実際、ここ3年の平均削減量を見てみると151千トンと想定を上回っています。また2020年の削減率の実績は、2018年比で13.65%の削減と、想定より約5.3ポイント高い結果でした。これは新型コロナウイルス感染拡大の影響で生産量が減少したことが主な要因です。

このままの推移でいくと目標である2018年対比50%の削減率は、想定より4年前倒して2026年に達成される想定です。

スコープ3の温室効果ガス排出量を2018年度比で24%削減する

味の素株式会社のCO2削減量実績と目標(スコープ3)

目標は「2030年に、スコープ3の温室効果ガス排出量を2018年比で24%削減する」です。この目標を達成するためには毎年238.7千トンの削減量が必要で、計算上は2020年の段階で4%の削減が達成されている想定でした。

しかし、ここ3年の平均削減量を見てみると72.8千トンと想定を下回っています。また2020年の削減率の実績は、2018年比で1.22%の削減と、想定より2.78ポイント低い水準にとどまってしまいました。

このままの推移でいくと2030年の最終着地としては、2018年度比で7.32%の削減率にとどまる計算です。

まとめ

CO2排出量に関してはスコープ1, 2は数字上は順調に削減されているように見えますが、その要因が新型コロナウイルスの影響で生産量が減少したことでした。そのため、今後もこの削減量が持続可能なのかを注視する必要がありそうです。また、2021年度に目標達成に向けた詳細な計画を策定すると報告書にあったことから、今後取り組みが本格化してくることが予想されます。

味の素株式会社の脱炭素戦略の図解(同社サステナビリティデータブックより引用)
味の素株式会社の脱炭素戦略の図解(同社サステナビリティデータブックより引用)


目標の明確さ: o
目標の野心度合い: o
アクションプランの明確さ: △
実績の明確さ: o

参考リンク

・世界銀行:日本人一人当たりのCO2排出量
https://datacommons.org/place/country/JPN?utm_medium=explore&mprop=amount&popt=Emissions&cpv=emittedThing%2CCarbonDioxide&hl=ja
・味の素グループ統合報告書2021
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/library/annual/main/011/teaserItems1/00/linkList/0/link/Integrated%20Report%202021_J_A4.pdf
・サステナビリティデータブック2021
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/pdf/2021/SDB2021jp_climate.pdf