日立建機株式会社のESG経営分析(炭素排出量編)
サステナビリティ経営 企業

企業のESG経営分析(炭素排出量)ー日立建機株式会社2020年

日立建機株式会社のESG経営のE(環境)、その中でも炭素排出量に関する目標とその取り組み、そして実績についてみていきたいと思います。

炭素排出量の概要

日立建機株式会社のスコープ別CO2排出量推移と目標

排出量の割合を見てみると、スコープ3の排出量が大部分を占めています(約98%)。
また過去2年間のCO2排出量の推移を見てみるとスコープ1, 3は毎年5%ずつの微減です。しかし、スコープ2は2019年は前年度比で5%増加だったのが、2020年には前年度比10%以上の削減を達成しています。

日立建機株式会社の2030年に向けた脱炭素の目標

日立建機株式会社では、脱炭素に関連する目標を以下の2つ定めています。
1. 2030年度までにスコープ1+2の排出量(総量)を45%削減(2010年度基準)
2. 2030年度までにスコープ3(製品使用時)の排出量(総量)を33%削減(2010年度基準)

各目標による想定される脱炭素効果を算出する

2010年度の同社のスコープ1, 2の排出量は約40.7万トンでした。そのため、45%の削減を達成すると約22.4万トンのCO2排出が削減される計算です。これは、日本人の平均的な年間CO2排出量が8.7トン(※)なので約2.1万人分の削減に相当します。
※世界銀行のデータより

また同社の同年度のスコープ3の排出量は2,099.4万トンでした。そのため、33%が削減されると692.8万トンが削減される計算です。これは日本人約79.6万人分の排出量を削減することに相当します。
上記より、同社の目標が2つ達成されると日本人81.7万人程度のCO2排出量を削減されることが期待できます。

目標に向けた活動

スコープ1, 2のCO2排出量削減に向けて、「CO2を減らす」取り組みとして「省エネルギー設備への投資」、「省エネ活動の推進」、「太陽光発電の導入」に取り組んでいます。また2019年からは省エネ設備への投資をより促進する目的で、インターナルカーボンプライシング制度を導入しています。これは、投資判断時に炭素価格を加味するための取り組みです。

上記以外にも、環境負荷の見えるを行うための独自システムを構築しています。また、2014年からはCO2排出量などの管理をそれまでの「3か月単位」から「1か月単位」に変更しています。これにより月単位で改善サイクルを回しています。

目標別の実績検証

1. 2030年度までにスコープ1+2の排出量(総量)を45%削減(2010年度基準)

日立建機株式会社のCO2削減量実績と目標(スコープ1+2)

目標は「 2030年度までにスコープ1+2の排出量(総量)を45%削減(2010年度基準)」です。この目標を達成するためには、毎年0.9万トンの削減量が必要で、計算上は2020年の段階で2010年度対比22.5%の削減が達成されている想定でした。

実際のところ2020年の削減率実績は、2010年度比で27%の削減率を実現していて、想定を上回っています。

このままの推移でいくと予定を前倒して、2028年には目標を達成できてしまう想定です。今後このペースが保たれるのか、動向に注目したいです。

2. 2030年度までにスコープ3(製品使用時)の排出量(総量)を33%削減(2010年度基準)

日立建機株式会社のCO2削減量実績と目標(スコープ3)

目標は「 2030年度までにスコープ3(製品使用時)の排出量(総量)を33%削減(2010年度基準)」です。この目標を達成するためには、毎年34.6万トンの削減量が必要で、計算上は2020年の段階で2010年度対比16.5%の削減が達成されている想定でした。

実際のところ、2010-2020年の期間の毎年の削減量はグラフに落とし込むと、毎年32.4万トンの減少傾向です。また2020年の削減率実績は、2010年度比で16.5%です。つまり2020年度の数字だけを見ると順調ですが、2010年からの削減の推移で見ると進捗が若干想定を下回っています。

このままの推移でいくと、2030年は目標値にほんの僅か届かない結果になってしまいそうです。そのため今後の改善に期待したいと思います。

まとめ

目標設定に関しては、国際的なイニシアチブであるSBTの「2℃」認定を受けています。

取り組みの成果については、2020年度単体で見ると全ての目標において目標を達成できそうな進捗です。しかし、スコープ3の削減目標は経年で見ると若干目標に届かないペースであり、今後の動向に期待したいところです。

・目標の明確さ: o
・目標の野心度合い: o
・アクションプランの明確さ: △
・実績の明確さ: o

参考リンク

・世界銀行:日本人一人当たりのCO2排出量
https://datacommons.org/place/country/JPN?utm_medium=explore&mprop=amount&popt=Emissions&cpv=emittedThing%2CCarbonDioxide&hl=ja
・日立建機 グループ ESG データブック 2021
https://www.hitachicm.com/global/wp-content/uploads/2022/02/ESGdatabook2021_JE.pdf#page=7
・日立建機株式会社 「CO2を減らす」
https://www.hitachicm.com/global/jp/sustainability/environment/activities/co2/