ESG投資が盛んに行われるようになってくると、気になるのが「誰が」「どのように」企業のESG活動を評価しているのかという点です。
格付け機関と格付け方法の概要、また課題について紹介します。
記事全体の流れ
評価の手法
ESGの格付けはSustainalyticsやMSCIをはじめとした第三者企業が行っています。
格付け会社は、格付け対象の企業からのあらゆるデータを元に、多角的に評価を行なっています。
例えば、財務データ、政府・民間のレポート、ニュース記事などです。
それらを元に、産業別に重要なESGの要素(キーイシュー)を決定し、重み付けを行います。
なぜなら、業界によってESGの各項目のリスク度合いは大きく異なる場合があるからです。
例えば、電力会社ではESGのE(環境)に対するリスクは大きいですが、弁護士事務所の場合は同等のリスクがあるわけではありません。
以下は、格付け機関であるMSCIが発表しているキーイシューの一覧です。
引用:財務省「ESG投資をめぐる課題」pg. 20
評価の課題
GPIFが2017年のプレスリリースで指摘している通り、各評価機関によるESG評価の相関性が低いことがあげられています。
以下は、GPIFが採用しているESG指数を提供しているFTSE社とMSCI社のESG評価の比較です。
引用:GPIFプレスリリース(2017年)pg. 11
その背景には、評価手法が評価機関によって様々で、一つの基準がないことがあげられます。
評価機関によって重視する基準やデータの解釈が異なることがその背景にはあります。
ある評価機関は環境要因を重視するが、また別の機関はガバナンス要因を重視するなどといった場合です。
参考
GPIFプレスリリース(2017年)
Bloomberg「責任投資を正確に評価するには」
財務省「ESG投資をめぐる課題」