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知って得する!太陽光発電のFIP制度をお得に使う

Image by Lorenzo Cafaro from Pixabay

2022年4月からFIPという制度が始まりました。ここでは、FITに代わる新しい再エネ導入支援制度であるFIPについて解説します。

FITによって、国民負担の増加が課題に

近年FITのデメリットとして国民負担の増大が問題になってきました。なぜなら、FIT制度によって再エネの導入が進んだというポジティブな成果があった反面、それに伴って買取電力量と買取りに必要な資金が増えてきたというネガティブな側面があるためです。

FIT制度の下では、再エネによって作られた電力は長期にわたって固定価格で買い取られています。この買取りに必要な費用は、国民全体が電力の使用量に応じて「再エネ賦課金」として負担しています。


(東京電力ホールディングス. 「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」. https://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/charge/1253678_6290.html より筆者作成)

FITの課題解決に向けてFIPが登場

FIPは、FIT同様に再エネ市場の優遇を引き続き行います。しかし、より自立的な市場を目指す制度設計になっています。

FITでは未成熟だった再エネ市場の成長を促すために手厚い優遇策を行っていましたが。しかしその結果、国民負担が増大していました。

そこで、優遇度合いを落として市場への統合を進めるために作られたのがFIPです。具体的には、今まで免除されていた「バランシングコスト」の負担が始まったり、買取価格の仕組みに変化があります。

FIPの特徴

売電価格にプレミアムが上乗せされる

FIPでは、予め決められた買取価格で電力を売電できます。この価格を基準価格と言います。ただしFITでは買取価格が固定されているのに対して、FIPでは基準価格は変動します。以下に概念図を示します。


(引用:経済産業省「FIP制度について」https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/setsuden_dr/pdf/001_02_08.pdf

バランシングコストの負担が必要になる

FIPの特徴として「バランシングコスト」を負担することになる点が挙げられます。バランシングコストとは、以下の二つを指します。
①発電量の計画値と実績値の算出、提出などの運用をするためのコスト
②発電量の予定値と実績値に乖離があった(インバランス)時に支払うペナルティ

このコストはFITの時には「インバランス特例」によって免除されていました。しかし、FIPの目的は再エネをより自立させることです。そのため、通常の発電事業に必要とされるこれらのコスト負担が求められるようになりました。

とは言っても、実際には経過措置としてインバランスリスクを補填する仕組みになっています。2022年度のFIP開始当初は、1kWhあたり1円を交付し、その後徐々にこの補填額が少なくなっていく見込みです。


(引用:経済産業省・資源エネルギー庁「再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート」https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/fip.html

50kW以上の設備はFIP

出力容量の大きな設備から段階的に、FIPの認定が始まっています。具体的には以下の表に示す通りです。



(引用:経済産業省・資源エネルギー庁「再エネの大量導入に向けて」https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/044_01_00.pdf

つまり2023年現在、新規で500kW以上の設備を設置する場合はFITではなく、FIPを利用することになるということです。

まとめ

ここまででFIPについて、その背景から仕組み、制度を使ってお得に太陽光発電設備を運用する方法について見てきました。

この記事が、読者の方のFIP制度の内容把握と、太陽光発電の導入に向けた検討が進む一助になれば幸いです。

参考

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