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太陽光発電パネルの寿命は30年程度。より長く効率的に使う方法2つ

Male hands installing flexible solar panel on rv campervan or repair camper car roof.

「太陽光パネルの寿命はどれくらいなのか。」

太陽光発電の導入は安くないので、そういった疑問が出てくるのではないでしょうか。

この記事では、その疑問に対して以下のデータからお答えします。
①太陽光発電パネルのメーカーの保証期間
②実際の例

また、より効率的に使うためにメンテナンスをする必要性についてもご説明します。

太陽光発電のパネルの寿命は30年程度。

太陽光発電の寿命は30年程度です。

実際、多くのメーカーが太陽光発電の出力保証を25年〜30年で定めています。出力保証とは、メーカーが太陽光パネルの出力を一定の期間、特定の値以上であることを約束するものです。もしその規定数値を下回った場合は、メーカーが修理や交換を行ってくれます。

以下の図は、メーカー大手9社の出力保証期間です。9社の内、6社が25年以上の出力保証をしているのがわかります。

30年以上稼働している例もある

出力保証は、20〜30年程度であることが多いですが、実際には30年以上稼働している事例も存在しています。

例えば、京セラが1984年に千葉県佐倉市に設立した「佐倉ソーラーエネルギーセンター」は36年目に当たる2021年時点でも稼働しています。しかも、出力の低下率は17.2%です。平成24年に水産庁が示した一般的な劣化率よりも良い水準で稼働をしています。


(出典:水産庁「漁港のエコ化方針(再生可能エネルギー導入編) 巻末資料:事業性検討シートの利用法(太陽光発電)」https://www.jfa.maff.go.jp/test/keikaku/pdf/kanmatusitoriyouhou.pdf と京セラ「太陽光発電・蓄電池」. https://www.kyocera.co.jp/solar/advantage/features/ から筆者作成)

長く使うための2つの方法

定期的な点検を行う

定期的な点検を行うことで、劣化や故障に気づきやすくなります。その結果、修理などの対応を早めに行うことができるので必ず行うようにしてください。50kW以上の発電設備、またはFITやFIP制度を使う発電設備では義務付けられています。

定期的なメンテナンスを行う

定期的にパネルの洗浄をするのも有効です。

放置をしていると劣化率が10倍加速するー川崎市・扇島太陽光発電所の事例

なぜなら、洗浄をしないで放置しておくと、土や埃などがパネルに堆積し発電効率を下げてしまうためです。

実際、川崎市の「扇島太陽光発電所」では太陽光パネルの出力が4年で20%近く低下した事例がありました。この数字は、水産庁が示している一般的な劣化率が「年間0.5%」とされていることを考慮すると、驚異的な劣化率であることがわかります。


(出典:水産庁「漁港のエコ化方針(再生可能エネルギー導入編) 巻末資料:事業性検討シートの利用法(太陽光発電)」https://www.jfa.maff.go.jp/test/keikaku/pdf/kanmatusitoriyouhou.pdf と神奈川県川崎市. 「既設太陽光パネルの洗浄方法と発電効率に関する実証」https://www.city.kawasaki.jp/300/cmsfiles/contents/0000085/85802/170316fujiks.pdf から筆者作成)

一般的には、4年間で2%の劣化率の想定です。しかし、この扇島太陽光発電所では、その10倍である約20%劣化してしまっています。

パネル洗浄によって、最大7.59%発電効率が回復した

上述の川崎市の事例では、パネル洗浄後に最大で7.59%の発電効率の回復が見られました。また、同実証ではパネル洗浄による効果は半年間継続し、発電効率を1.53%回復させると考察しています。

定期的にパネル洗浄を行なっている場合は、ここまで劇的な数字上昇はないと思います。しかし、パネル洗浄をしないと場所によっては、発電効率が著しく減少してしまうことは確かだと言えそうです。

寿命になるとどうなるか

寿命になった場合には、以下の2つが起きることが想定されます。
①発電量の低下
②廃棄コストの発生

設置から30年で、発電量が15%失われる

発電量は、経年劣化によって低下してきます。

以下の図の通り、一般的な設備では劣化率が「年間0.5%」とされています。


(出典:水産庁「漁港のエコ化方針(再生可能エネルギー導入編) 巻末資料:事業性検討シートの利用法(太陽光発電)」https://www.jfa.maff.go.jp/test/keikaku/pdf/kanmatusitoriyouhou.pdf

つまり、30年後には15%の発電量が失われます。

20kWの設備だと、設置から30年で売電収入ロスは23,100円

20kWの設備だと、設置30年後には売電収入は23,100円失われてしまいます。

20kWの設備だと、設置から30年で電気代削減効果は75,600円失われる

廃棄コストが発生する

最終的には、廃棄処分をするコストが発生します。

経済産業省の「総合資源エネルギー調査会」2019年の調査によると、平均的な廃棄コストは「1~1.7万円 / kW」とされています。

まとめ

太陽光発電パネルの寿命は保証期間をもとに考えると、25〜30年程度です。

ただし、実際には京セラ設置の「佐倉ソーラーエネルギーセンター」のように35年を超えて稼働している設備もあります。そのため、メーカーとメンテナンスの実施状況次第では長く使い続けられることがわかります。

また、メーカーによって保証期間や内容が変わってくるためパネルを選ぶ際は、保証内容が充実しているメーカーを選ぶようにしましょう。その結果より長く、より高い発電効率で設備を運用できます。

参考

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