「蓄電池って後付けで導入するべきなのかな」
こんなふうに思ったことはありませんか?
蓄電池を後付けすると収益が上がる場合が3つあります。この3つに該当する場合は導入の検討をお勧めします。
この記事ではその3つのパターンを解説し、蓄電池の導入方法とタイミング、その費用の項目について説明します。
この記事を読むことで、蓄電池を後付けで導入するべきか判断ができて、その後に検討するべき項目もわかるようになります。
蓄電池を後付けすると収益性が上がる
すでに太陽光発電を稼働させている場合で蓄電池を後付けすると収益性が上がる場合があります。それは、以下の場合です。
続く章で、以下の分類に沿ってそれぞれ詳しく説明していきます。
①変動価格で売電をしている(卒FIT、FIP)
②FITを利用していて、過積載で太陽光発電設備を設置している
③全量を自家消費しているが、発電設備は過積載である
①変動価格で売電をしている(卒FIT、FIP)
卒FITを迎えると、蓄電池をつけた方が収益が上がります。
なぜなら蓄電池をつけることで発電した電力の保存が可能になり、その結果売電価格が高いタイミングを狙って売電することができるようになるからです。
実際に、以下のグラフをみると、時間帯によって電力価格が大きく変動していることがわかります。
(経済産業省・資源エネルギー庁. 「再エネ特措法改正関連情報」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_index.html#fip_more )
例えば2020年は、価格差が最大で「5円 / kWh」になっています。最低価格は、12時頃の「2.7円 / kWh」です。最高価格は18時頃の「7.9円 / kWh」です。
つまり、蓄電池をつけない場合は電力の保存ができないため、お昼に作った電気は同時刻に「2.7円 / kWh」で売電するしかなくなります。しかし、蓄電池があればそれを18時頃に「7.9円 / kWh」で売電することができるのです。
②FITを利用していて、過積載で太陽光発電設備を設置している
FITを利用している場合は、過積載で太陽光発電設備を設置している場合に収益が上がります。なぜなら、売電に回せる電力が増えるためです。
(引用:経済産業省・資源エネルギー庁「既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応」https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/009_02_00.pdf )
過積載では、太陽光発電の最大出力で発電されると一部の電力は捨てられます。これは、パワーコンディショナーの処理可能量以上に発電されてしまっているためです。
そのため蓄電池を導入すると、今まで捨てられていた電力を売電に回すことができます。
ただし以下の点に注意が必要です。
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「再エネの大量導入に向けて」より筆者作成。 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/042_01_00.pdf )
③全量を自家消費しているが、過積載で太陽光発電設備を設置している
全量を自家消費している場合には、過積載で太陽光発電設備を設置している場合に収益が上がります。
理由は、「②FITを利用していて、過積載で太陽光発電設備を設置している」と同様です。つまり、最大出力で発電された場合に捨てられていた電力を活用できるようになるためです。
これによって電力会社から購入する電力量が減るので、電気代の削減につながります。
蓄電池を後付けする方法は2つ
蓄電池を後付けする方法は、パワーコンディショナーの付け方により2つに大別されます。蓄電池にもパワーコンディショナーが必要なため、既存の太陽光発電で使用しているパワーコンディショナーをどうするかによって変わるのです。
既存のパワーコンディショナーがまだ使えるなら、単機能型にする
太陽光発電のパワーコンディショナーとは別に、蓄電池用のパワコンを導入する方法です。太陽光発電側のパワーコンディショナーが動いている場合は、それを活用した方が蓄電システムの導入コストが下がります。
他にも単機能型には以下のような利点があります。
・ハイブリッド型に比べて安価である
・太陽光発電のパワーコンディショナーとは独立しているため相互のトラブルが影響し合わない
既存のパワーコンディショナーが故障したなら、ハイブリッド型にする
太陽光発電と蓄電池に対して、一つのパワーコンディショナーを導入する方法です。
太陽光発電側のパワーコンディショナーも交換が必要であれば、ハイブリッド型の方が以下の点でメリットがあります。
・単機能型に比べて、電気の変換ロスが少ない
・設置スペースが少なくて済む
蓄電池をつけるベストなタイミング
補助金が出てるタイミング
蓄電池の後付けで導入する場合は、補助金が出ている間にするのが一つのおすすめです。
蓄電池の導入には、産業用より比較的容量の小さい家庭用でさえ、200万円程度必要とされています。この金額を抑えられるのであればぜひともそのチャンスは見逃したくないところです。
パワコンの保証が切れた後に故障したタイミング
パワコンの取り替えのタイミングも蓄電池の導入のチャンスです。前述の通り、この場合はハイブリッド型のパワコンと蓄電池を導入することがおすすめです。
卒FITのタイミング
卒FITのタイミングも導入を検討すると良いです。卒FITで売電を継続する場合、蓄電池の有無で最大「5円 / kWh」売電単価が変わってしまう可能性があるためです。
蓄電池の導入に必要な項目
蓄電池の導入に必要な費用項目としては以下があります。
①蓄電池などの設備費用
②設置工事費用
③電気工事費用
②、③に関しては、設置方法、設備の容量などによって変わってきます。
まとめ
蓄電池を後付けで導入することで収益が上がる3つの場合を紹介しました。このいずれかに該当する場合は、蓄電池の導入を検討し、収益、導入費用のより詳細なシミュレーションを行うことをお勧めします。
この記事が、後付けでの蓄電池の導入を検討する一助になれば幸いです。
参考
- 経済産業省・資源エネルギー庁. 「再エネ特措法改正関連情報」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_index.html#fip_more (参照日:2023年2月1日)
- 経済産業省・資源エネルギー庁. 「FIP制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスの更なる活性化」. https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/019_01_00.pdf (参照日:2023年2月1日)
- 経済産業省・資源エネルギー庁. 「既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応」https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/009_02_00.pdf (参照日:2023年2月1日)
- 経済産業省・資源エネルギー庁. 「再エネの大量導入に向けて」. https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/042_01_00.pdf.(参照日:2023年2月1日)