資源

2030年に向けて日本のエネルギー政策はどうなっているの?3E+Sに基づいた電力ミックスとは

2030年にむけたエネルギー政策
2030年にむけたエネルギー政策

私たちの生活に欠かせないエネルギーですが、日本は天然資源に乏しいため、外国からエネルギーのほとんどを輸入しています。
しかし、資源には限りがあります。
また、東南アジアなどを中心にエネルギー使用量が増えています。
日本のエネルギーの今後はどうなっていくのでしょうか?

エネルギー基本計画とは

エネルギー基本計画とはなんでしょうか?

それは国が中長期のエネルギー政策に関する方針を示したものです。
この計画は中長期の方針を定めているものなので、3年ごとに検討・改正されています。

そして、2018年7月に最新のエネルギー基本計画(第5次)が作成されました。
これはパリ協定の影響を強く受けて、脱炭素化に向けた内容も盛り込まれています。

これを見れば、今後の日本のエネルギー構成など、エネルギーに関する世の中の動きが見えてくるというわけです。

3E+S

エネルギー政策の背景には、3E+Sという考え方があります。
3Eとは以下の英単語の頭文字をとったものです。

  1. エネルギーの安定供給(Energy Security)
  2. エネルギーの経済効率性の向上(Economic Efficiency)
  3. 環境への適合(Environment)

Sとは安全性(Safety)の頭文字をとったものです。

つまり、安定した供給ができて、低コストで、環境にも優しい、なおかつ安全なものをという方針が背後にはあるということです。

エネルギーミックス

3E+Sを達成するためにエネルギーミックスという単語が出てきます。
エネルギーミックスとは、簡単に言うと3E+Sを実現するためにそれぞれ特徴のあるエネルギー源を総合的に活用していこうという考え方のことです。

 

 

 

3E+Sの目標は達成のためには、一つの資源だけでは実現が難しいのです。

安定供給 低コスト 環境に優しい(CO2排出量の観点から) 安全(人にとって)
火力 ×
原子力 ×
再生可能エネルギー × ×

例えば、化石燃料を原料とする火力発電に頼るだけだと、「低コスト」・「安定供給」(資源の輸入が安定している前提ですが)は実現できます。
しかし、「環境に優しい」という目標が達成できません。

逆に、再生可能エネルギーだったらどうでしょうか。
風力発電などは、「環境に優しい」です。
しかし、供給量がまだ少なく、「安定供給」・「低コスト」の達成が難しいです。

また原子力発電は安全性が担保できませんね。

それぞれのエネルギーには長所短所ありますが、
それらを組み合わせて総合的な3E+Sの水準を上げていこうというのが電力ミックスの考え方です。

2030年に向けた取り決め

今回のエネルギー基本計画では、2030年と2050年に向けた目標の二つが決定されています。
今回は2030年の目標に的を絞ってみたいと思います。

2030年時点の方針は以下のようになっています。

温室効果ガス26%削減に向けて
エネルギーミックスの確実な実現

2030年時点でのエネルギーミックスの割合は以下の通りです。

再生可能エネルギー

2030年に向けて、エネルギーミックス水準は22-24%を目指しています。
2011年の東日本大震災前は10%程度でしたが、2018年時点では17.4%にもなっています。

10年弱で7%供給割合が上昇していることを考えると、実現できそうな値に見えますね。
ただし、これを実現するためにはいくつか乗り越えなければならない問題があります。

  1. 低コスト化
    再生可能エネルギーで電力を作るのはまだまだコストが高いのが現状です。
    と言うのも、住宅用ではない場合の発電設備の導入には欧州と比べて2倍近く費用がかかるのです。そこから発電される電気ももちろん高くなってしまいますが、この電力は国が決めた一定の価格で買い取られます。
    その時の買取費用の一部を国民が広く負担しているのです。

    再生可能エネルギーの導入が増えて、技術への投資が増えて、設備を導入する費用が安くなるといいですね!

  2. 調整力の確保
  3. 系統制約の克服
    電力は需要と供給のバランスを常に保つのがとても重要です。
    そのバランスが崩れると、停電などの恐れがあります。しかし、再生可能エネルギーは自然からエネルギーを作っています(太陽光や水力、風力などを主に想定しています。)。
    そのため、電力の供給が不安定です。

    作り過ぎてしまっても止めることはできなかったり、逆に少な過ぎて困ってしまうことがあります。
    こうした再生可能エネルギーの電力供給の不安定さを解消するために期待されているのが、蓄電池です。

    作った電気をためておくことができれば解消されると言うわけです!

 

原子力発電

2030年に向けて、エネルギーミックス水準は20-22%を目指しています。
2011年の東日本大震災前は25%程度でしたが、2018年時点では4.8%程度になっています。

原子力発電は今後2030年に向けてさらに増えていく想定のようです。

化石燃料

2030年に向けて、エネルギーミックス水準は56%を目指しています。
2011年の東日本大震災前は65%程度でしたが、2018年時点では78%程度になっています。
最近は、原子力発電の停止に伴って増加傾向にありました。

この化石燃料に関しては、安定供給・環境への配慮などの観点から以下の施策が進められると決定されています。

  1. 高効率火力発電の利用
    日本が出しているCO2の40%は火力発電に由来するものです。
    中でも、石炭の発電効率が1%でも向上すると年間約660万トンのCO2が削減されると試算されています。
  2. 化石燃料(特に石油・天然ガス)の自主開発比率を引き上げる。
    日本の企業が、海外で天然資源を開発する際に、資金と技術を出すことを自主開発と言います。
    この比率を27%(2016年)から40%(2030年)に引き上げるのを目標にしています。

省エネ

日本ではオイルショック後の1970-1990年の20年間で、エネルギー消費効率が35%程度上昇しています。
それと同水準の省エネを2030年までに達成しようと言う目標が立てられています。
省エネ改善率推移

1970年と現在ではエネルギー消費効率の改善余地と言う点ではかなり厳しい状況だと思います。
しかし、同じ水準で改善しようと言うことで、政府は2018年6月に改正省エネ法を成立させました。
また、上記の法律と各種支援策で目標達成に向けた後押しを行う方針でいます。

まとめ

脱炭素化に向けて、国レベルでの動きが出てきているのがわかりました。
しかし、思ったより再生可能エネルギーの導入が少ないと言うのが所感です。
2030年時点での、再生可能エネルギーの供給割合は、現状の推移でいけば達成できそうなレベルで設定されています。

それに対して、省エネはなかなか厳しい数値が設定されていると感じました。
もう少し再生可能エネルギーに期待してもいいのではないかと思っています。
再生可能エネルギーがもっと普及するように自分でできることを探していきたいです!

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