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SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」が目指している取り組みをわかりやすく解説

人類が直面している諸問題について乗り越えるべき目標を定め、世界的な規模でその解決を図っていこうと策定されたのがSDGsです。全部で17ある目標のうち、目標3には「すべての人に健康と福祉を」という取り組みが設定されました。健康と福祉の面で世界の人々が置かれている現状とはどのようなものなのか、目標を達成するために何をすべきなのか、などといった点についてわかりやすく解説します。

SDGsが掲げる目標3「すべての人に健康と福祉を」の意味とは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」と訳されます。気候変動や貧困、病気など人類の生存を脅かす諸問題を前に、どうすれば持続可能な世界を築き上げることができるかという観点を17の目標にまとめ、国際社会が目指すべき共通目標として2015年の「国連持続可能な開発サミット」で採択されました。SDGsについては2030年までの長期指針が示され、17の目標とともに、目標ごとの具体的な取り組みを、わかりやすく169個にまとめた「ターゲット」と呼ばれる内容で構成されています

このうち目標3として定められたのが、「すべての人に健康と福祉を」という項目です。人が生きていく上で最低限解決すべき課題の一つに規定されており、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」というテーマに基づいた13個の具体的ターゲットから成り立っています。ターゲットには、妊婦や新生児の死亡率の削減、エイズやマラリアなどの伝染病の根絶、交通事故による死傷者の半減、全ての人への保険サービスの充実、環境汚染の削減などといった各種の健康・福祉問題に対処する内容が定められています。世界保健機構(WHO)憲章によれば、健康とは「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」と規定しています。そのため、あらゆる立場の人が積極的に生を享受できる状態をつくりだし、いかなるエリアにおいても例外なく福祉サービスを受けられることが目標3の目指すべき世界の在り方であるといえるのです。

「すべての人に健康と福祉を」という目標が掲げられた背景は?

SDGsの中に「すべての人に健康と福祉を」という項目が掲げられた背景には、世界における医療格差の問題があげられます。WHOなどが2019年に行った調査によれば、世界の子どものうち年間約520万人は5歳になるまで生きられないという結果が出ています。そのうち約240万人は生後間もない新生児で、アフリカ諸国で特に深刻な状況が生まれています。妊婦に関しても厳しい現実があります。ユニセフの「世界子供白書2019」によれば、1日に約810人、年間22.5万人の妊婦の死亡が報告されています。10万人当たりの死亡者数でみると、先進国が一桁であるのに対して、タンザニアは524人、南スーダンでは1150人にも上っており、この数の差は明らかに出産時における医療ケアの違いによるものです。

これらは、経済的に貧しくて適切な医療が受けられなかったり、不衛生な環境の中で健康を害したりして命を落としてしまう事例であり、各地でまだ数多く発生していることから、医療ケアの拡充は世界的に取り組むべき喫緊の課題となっています。たとえばこれらはワクチンの接種率を上げることで防ぐことができるでしょう。2016年の時点では、世界の約86パーセントの幼児が3種混合ワクチンを接種して各種の感染症から身を守ることができていますが、未接種の14パーセントは感染症のリスクを背負ったままです。しかしワクチンさえあれば救える命があるのです。また、病気を予防する観点では、安全な水環境の提供も有効です。マラリアや腸チフスなど、不衛生な水環境がもたらす深刻な健康被害は、水道設備の供給や手洗いなどの衛生習慣の啓蒙などによって防止することが可能です。

このように、取り組むべき解決方法は明確になっており、世界がすぐに行動を起こせばあらゆる人が健康を手に入れられる可能性が高まります。持続可能な世界を築く目標の一つに「すべての人に健康と福祉を」という項目が掲げられた背景には、健康という基本的な人権に対する尊重と、問題解決に向けた手段の明確化があります。

「すべての人に健康と福祉を」という目標を達成するための具体的な取り組みは?

SDGsの目標3を達成するための具体的な取り組みは、世界が抱える課題、日本が抱える課題の二つに分けて考えると把握しやすいでしょう。世界が抱える課題としては、開発途上国に向けた医薬品や医療機器などの開発があります。風土特有の病気を克服したり、不衛生な環境を改善したりするためには、安全で費用の安い医薬品や設備の開発が不可欠です。たとえば電気やガス、水道などのインフラが十分に整備されていない中で、安全な水を供給するための医療設備の開発や、診療時・手術時などにも電動力を供給できるソーラーシステムの開発などは、具体的に取り組むべき明確な課題の一つといえるでしょう。

SDGsの目標3は、途上国が抱える問題だけではなく、日本国内でも解決に向けて取り組まなくてはならない課題がまだ数多くあります。その一つに交通事故対策があります。交通事故は死傷者の減少を目指して目標3のうち6番目のターゲットに掲げられている課題です。国内では交通事故による死傷者数が年々減少傾向にはあるものの、アクセルとブレーキの踏み間違いなどによる死傷者の増加など、高齢化社会特有の課題も生まれてきました。自動車の各メーカーは踏み間違い防止など新しい技術の開発を強化しており、安全機能の充実に向けて研究を続けています。

メンタルヘルスに対する対策も急がれています。長時間労働やパワハラ・セクハラといった職場での各種ハラスメントで心を病む従業員の増加が問題になっている中、国は長時間労働の禁止を強化したり、定期的なストレスチェックを義務付けたりするなど、労働環境の改善に向けて法整備を行っています。さらに、職場内にも不調を感じた際の相談体制を充実させるなど従業員と経営者が一丸となったメンタルヘルス対策が行われています。

身体の健康面では生活習慣病対策の充実が図られるようになってきました。不規則な食生活や運動不足は深刻な健康被害を招く恐れがあります。そのため、健診などで早期発見に努めるほか、予防の観点から自治体が民間のフィットネス事業者などと提携して健康増進プログラムなどを導入するといったケースも各地で見られるようになりました。健康関連のさまざまな健康食品も厳しい品質審査のもとで各種開発されています。

「すべての人に健康と福祉を」という目標達成に向け、身近にできる取り組みとは?

「すべての人に健康と福祉を」というSDGsの目標3を達成させるためには、人任せではなく問題を自分事として考える必要があります。それには、身近にできる取り組みを着実に実践していくことが大切です。たとえば「すべての人に健康と福祉を」という理念のもとに活動を行っているNPO団体や企業などへの寄付を行うという行為も、身近にできる取り組みの一つでしょう。ペットボトルのキャップを回収して途上国の子どもたちへのワクチン代とする活動などもあります。

どのような組織や団体がSDGsの目標3実現に向けて活動をしているのかを調べてみることも、理解や関心を深めるうえで有効な方法です。そのうえで、自分が何かのボランティア活動に参加することができないか検討してみることも身近にできる取り組みとなります。実際に行動に移すことができれば、目標達成に向けた大きな推進力となることができます。

とはいえ、誰から見てもわかりやすく行動に移すことだけが、SDGsへの唯一の貢献方法というわけではありません。交通事故の被害者にも加害者にもならないよう安全に注意したり、生活習慣病にかからないよう健康面に留意したりするといった身近な努力も、目標達成への大きな成果に結びつくでしょう。

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