SDGsウェディングケーキモデル
Credit: Azote for Stockholm Resilience Centre, Stockholm University CC BY-ND 3.0.
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SDGsのウェディングケーキモデルとは?

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標=SDGs」は、日本でも環境に関心を持つ個人・企業に浸透し、共通の認識になりつつあります。このSDGsの構造をわかりやすい図にした、「ウェディングケーキモデル」をご存じでしょうか。この記事では、ウェディングケーキモデルと、17の目標が関連し合うSDGsの構造について、詳しく解説します。

SDGsとウェディングケーキモデル

SDGsのウェディングケーキモデルは、ストックホルム大学の持続可能性科学に関する研究所である、「ストックホルム・レジリエンスセンター」所長のヨハン・ロックストローム氏が提案したモデルです。ウェディングケーキという言葉を聞いたとき、一般的に想像するのは、土台の層が一番大きい、数段の層が積み重なったケーキの図ではないでしょうか。ウェディングケーキモデルは、SDGsの17の目標がそれぞれどのように関連しているのかという構造を、聞いてわかりやすい言葉と、目で見てわかる図にして解説したものです。

SDGsを簡単に復習しよう

2000年の国連サミットで採択された「開発分野における国際社会共通の目標=MDGs」で、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げました。達成期限だった2015年の国連サミットでは、MDGsが一定の成果を上げたことが確認され、さらに発展させた後継目標として「SDGs」が採択されたのです。「SDGs」の達成期限は、2030年。1つめの「貧困をなくそう」から始まる17の目標と、169のターゲットで構成された行動計画は、発展途上国・先進国の区別なく取り組める普遍的な内容になっています。「地球上の誰ひとり取り残さない」ことを誓って、持続可能なよりよい世界を目指す国際目標です。

ウェディングケーキモデルの3つの層

ウェディングケーキモデルでは、3段に重ねたケーキになぞらえて、SDGsの17の目標を3つの層に分けています。下段から「生物圏」、「社会圏」、「経済圏」と分かれ、ケーキと同じように下段が上段を支える構造です。一番下の生物圏=地球環境という大きな基盤があってこそ、人類社会が成り立ち、豊かに整った人類社会に支えられることで、経済も発展していくことを表しています。「生物圏」、「社会圏」、「経済圏」の3層の頂点には、SDGsの目標17である「パートナーシップで目標を達成しよう」が置かれ、持続可能なより良い世界を実現するためには、世界の人々のパートナーシップが欠かせないことも示されているのです。

ウェディングケーキの土台となる「生物圏」の目標とは?

SDGs17の目標の中で、ウェディングケーキモデルの土台となる「生物圏」の目標は4つあります。
・目標6.「安全な水とトイレを世界中に」
・目標13.「気候変動に具体的な対策を」
・目標14.「海の豊かさを守ろう」
・目標15.「陸の豊かさも守ろう」

生き物にとって欠かせない、4つの目標

水は生き物にとって、なくてはならないものです。人間は、食べ物がなくても十分な水があれば2~3週間生きられ、水を1滴も飲めない状況では3~5日の命といわれています。また、近年の温暖化によって、日本でも台風や大雨による災害が増えるなど、気候変動の影響は無視できなくなってきました。海や陸の豊かさを守ることは、動物や植物の生きる場所を守るだけでなく、再生エネルギーを始めとした環境から得られるエネルギーの持続可能性を守ることにも繋がります。

生物圏の目標の達成が、社会圏・経済圏を支える

社会と経済は、人間の営みが生み出すものです。しかし、人間の力だけでは、社会も経済も、持続可能な形で繁栄させるのは困難でしょう。人間は、同じ地球上に存在する動物や植物を、ときには利用しながら、様々な形で共存して生きています。持続可能な社会も経済も、自然環境の持続可能性を基盤として成り立っているのです。人間を始めとした動植物などの生物がこれからも存続し続けるためには、地球環境という「生物圏」の豊かさを守ることが大切といえるでしょう。

ウェディングケーキの真ん中は「社会圏」の目標

SDGsのウェディングケーキモデルの真ん中となる「社会圏」の目標は3層中でもっとも多く、8つあります。
・目標1.「貧困をなくそう」
・目標2.「飢餓をゼロに」
・目標3.「すべての人に健康と福祉を」
・目標4.「質の高い教育をみんなに」
・目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標7.「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標11.「住み続けられるまちづくりを」
・目標16.「平和と公正をすべての人に」

人々が不自由のない生活を送るための環境を整える、8つの目標

生物圏を人々が生きるための環境を守る目標とすると、「社会圏」は、人々が不自由のない生活を送るための環境を整える目標といえるでしょう。食と住に不安なく過ごせることは、社会生活に最低限必要な要素であり、人々の健康を守るためにも重要です。SDGsが目指すのは、「地球上の誰ひとり取り残さない」持続可能なより良い世界であることから、差別や偏見、格差のない社会を実現する必要もあるでしょう。

教育とジェンダー平等によって、差別や偏見のない、平和で公正な社会を育むことができます。経済状態などの格差なく、誰もがクリーンなエネルギーを利用できることも大切です。8つの目標を達成することで、持続可能な形で経済を発展させるための基盤となる「社会圏」を作ることができます。

ウェディングケーキの上段は「経済圏」の目標

SDGs17の目標中、ウェディングケーキモデルの上段にあるのは、「経済圏」の4つの目標です。
・目標8.「働きがいも経済成長も」
・目標9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10.「人や国の不平等をなくそう」
・目標12.「つくる責任 つかう責任」

持続可能な経済発展のための、4つの目標

働きがいのある人間らしい仕事で生産性が上がれば、経済が発展します。国内の格差だけではなく、自国のことだけを考えて開発を行ったり、発展途上国にコストを押しつけたりといった、国家間の不平等を無くしていくことも重要です。世界中の人々が自由で働きやすい状況であれば、産業や技術革新が起こる基盤になり、様々な社会課題を解決できるような新技術の発展にも繋がるでしょう。生産も消費も、その場限りではなく、長い目で見て行うことが大切になります。

経済の発展は、基盤となる生物圏と社会圏によって支えられているため、経済のために人や環境を犠牲にしては、持続可能な繁栄は難しいでしょう。経済圏の4つの目標は、利益を求めるだけの豊かさや成長ではなく、人や環境を大切にし、生物圏・社会圏とも調和した経済の豊かさを実現するためのものです。

ウェディングケーキの頂点に位置する、SDGsの目標17

ウェディングケーキの頂点に、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」が置かれているのはなぜでしょうか。目標17は、各個人から企業、自治体や国まで、様々な規模で人々が協力し合い、同じ地球上に生きるパートナーとして持続可能な社会を達成しよう、という内容です。発展途上国と先進国の国家間格差を埋めるため、グローバル・パートナーシップを活性化し、金銭的・技術的な国際協力を行うことも含まれています。生物圏・社会圏・経済圏の3つが調和して、地球上の誰ひとり取り残さない社会を実現するための実施手段として掲げられているのが目標17です。