リコーのサステナビリティ経営分析(炭素排出量編)
サステナビリティ経営 企業

企業のサステナビリティ経営分析(炭素排出量)ー株式会社リコー2020年

炭素排出量の概要

株式会社リコーのスコープ別CO2排出量推移-1

排出量の割合を見てみると、スコープ3の排出量が大部分を占めています(約85%)。
また排出量の推移を見てみると2018→2019年では全てのスコープで5~10%減少しています。2019→2020年だと、スコープ1, 2は15~20%の減少ですが、スコープ3は30%程度と他のスコープと比較すると大幅な減少を見せています。

株式会社リコーの2030年に向けた脱炭素の目標

株式会社リコーでは、脱炭素に関連する目標を以下の2つ定めています。
1. 2030年に、2015年比でGHGスコープ1,2の63%削減
2. 2030年に、2015年比でGHGスコープ3の40%削減
3. 2030年に、使用電力の再生可能エネルギー比率50%

各目標による想定される脱炭素効果を算出する

2015年度の同社のスコープ1, 2の排出量は約49.8万トンでした。そのため、63%の削減を達成すると約31.4万トンのCO2排出が削減される計算です。これは、日本人の平均的な年間CO2排出量が8.7トン(※)なので約3.6万人分の削減に相当します。
※世界銀行のデータより

また、目標2に関しては2015年の同社のスコープ3の排出量は259.6万トンでした。そのため、40%が削減されると103.8万トンが削減される計算です。これは日本人約11.9万人分の排出量を削減することに相当します。
上記より、同社の目標が2つ達成されると日本人15.5万人程度のCO2排出量を削減されることが期待できます。

目標に向けた活動

生産・物流プロセスの見直しで省エネルギー化を図っています。また電力使用自体での炭素排出を抑制するために再生可能エネルギーの利用を拡大しています。その他にも「サステナビリティ・リンク・ローン」などのサステナブルファイナンスの活用も積極的に進めています。

目標別の実績検証

1. 2030年に、2015年比でGHGスコープ1,2の63%削減

株式会社リコーのCO2削減量実績と目標(スコープ12)

2020年度は2015年度対比で43.73%の削減を達成しました。

目標は「2030年に、Scope 1とScope 2の合計を2015年比63%削減」です。この目標を達成するためには毎年2.1万トンの削減量が必要で、計算上は2020年の段階で21%の削減が達成されている想定でした。

実際、ここ5年の平均削減量を見てみると4.4万トンと想定を上回っています。また2020年の削減率の実績は、2015年比で43.73%の削減と、想定より約22.5ポイント高い結果でした。このままの推移でいくと目標は7年前倒しで2023年で達成される見込みです。

2. 2030年に、2015年比でGHGスコープ3の40%削減

株式会社リコーのCO2削減量実績と目標(スコープ3)

2020年度は2015年度対比で42.06%の削減を達成しました。


目標は「2030年に、Scope3を2015年比40%削減」です。この目標を達成するためには毎年6.92万トンの削減量が必要で、計算上は2020年の段階で13.3%の削減が達成されている想定でした。

実際、ここ5年の平均削減量を見てみると21.8万トンと想定を上回っています。また2020年の削減率の実績は、2015年比で42.06%の削減と、想定より約30ポイント高い結果であり、既に目標値を達成してしいます。

3. 2030年に、使用電力の再生可能エネルギー比率50%

株式会社リコーの使用電力の再生可能エネルギー比率

2020年度は使用電力の再生可能エネルギー比率17.6%を達成しました。


目標は「2030年に、使用電力の再生可能エネルギー比率50%」です。この目標を達成するためには毎年3.4%比率を上げていくことが必要で、計算上は2020年の段階で使用比率は16.4%になっている想定でした。

実際、ここ4年の平均上昇比率を見てみると3.7%と想定を上回っています。また2020年使用電力の再エネ比率の実績は17.6%で、想定より1.2ポイント高い結果でした。このままの推移でいくと目標は1年前倒しで2029年に達成される見込みです

まとめ

目標設定に関しては、スコープ1,2は63%の削減という数字をおいていて、これは国際的なイニシアチブであるSBTから「1.5℃」基準の認定を受けるなどとても野心的な設定をしています。また、スコープ3の削減目標や再生可能エネルギーの導入目標に関しても2020年度にそれぞれ「20%→40%」、「30%→50%」と上方修正していて前向きな姿勢が伺えます。

取り組みの成果については、全ての目標において目標を前倒しで達成できそうなペースです。ただし数字上の話と現実は異なる点もあると思います。そのため今後の実績がどれだけ計算場の値から離れてしまうのか、それともうまく事が運ぶのかに注目したいです。

・目標の明確さ: o
・目標の野心度合い: o
・アクションプランの明確さ: △
・実績の明確さ: o

参考リンク

・世界銀行:日本人一人当たりのCO2排出量
https://datacommons.org/place/country/JPN?utm_medium=explore&mprop=amount&popt=Emissions&cpv=emittedThing%2CCarbonDioxide&hl=ja
・リコーグループ統合報告書2021
https://jp.ricoh.com/-/media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/about/integrated-report/pdf2021/all_J_spread.pdf?rev=a8f5822e990e4399a3864ed283babf30#page=9
・リコーグループESGデータブック2021
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/sustainability/databook/pdf/esg_databook.pdf
・リコーグループESGデータブック2019
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/sustainability/databook/pdf/esg_databook_2019.pdf