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JCM(二国間クレジット制度)とは?問題点や、京都議定書やパリ協定との関連、実施状況をわかりやすく解説!

JCM(二国間クレジット制度)の概要

JCMとは、脱・低炭素技術を有する国から技術の無い国に対する支援を通じて、支援される国の持続可能な開発に貢献しつつ、それによって実現される脱炭素の成果を支援する国に還元する仕組みです。

具体的には以下の通りです。まずA国がB国に対して脱炭素関連の支援をします。この支援には低炭素技術、製品、システム、サービス、インフラなどが幅広く想定されています。そして実際の排出量と、A国の支援がなければB国で排出されるはずだった炭素排出量との差分を削減量として算出します。この削減量の一部や全部を支援国であるA国の炭素排出削減量として換算します。

上記の仕組みを「二国間クレジットの基本概念」としてまとめています。

優れた脱炭素技術等、製品、システム、サービス、インフラの普及や緩和活動の実施を加速し、途上国の持続可能な開発に貢献。
パートナー国で実施される緩和行動を通じて、日本からのGHG排出削減又は吸収への貢献を定量的に適切に評価し、それらの排出削減又は吸収によって日本及びパートナー国の排出削減目標の達成に貢献する。
パリ協定第6条に基づいて実施し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を促進することにより、国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献。

環境省「JCM(二国間クレジット制度)について」

クレジットのメリット

先進的な技術は獲得するまでに時間がかかり、投資コストも高くつきます。そのため、この投資コストを回収できるか見立てが立ちにくく、場合によっては投資実施に至らない可能性もあります。そうなってしまうと、技術的には削減できるはずの炭素が削減されず排出され続け、当事国にとっても世界全体で見て望ましくない状態になってしまうのです。 このような背景から技術や資金のある国が支援を実施することで、途上国にとっては自国だけでは実現が難しかった排出削減に取り組みやすくなります。これによって、世界的な排出削減も進みやすくなります。 支援国にとっても、こういった支援の成果としての炭素排出削減量を、支援国の排出削減量として計上できるというメリットがあります。 実際、世界銀行の専門家によるとこの取り組みによって毎年50億トンの追加的な炭素排出削減が見込まれています。2019年の世界の二酸化炭素排出量が335億トンであったため、世界の排出量の約15%が追加で削減できるということです。

JCMパートナー国と実施状況

JCMに関する協議は2011年から行われていて、2022年9月時点では22カ国とJCMを開始するための二国間文書に署名しています。また、2013年1月〜2022年9月で222件の事業がJCMとして実施されています。 2022年9月時点で署名している国は以下の通りです。(二国間文書に署名したのが早い順で記載しています。)
  • モンゴル
  • バングラデシュ
  • エチオピア
  • ケニア
  • モルディブ
  • ベトナム
  • ラオス
  • インドネシア
  • コスタリカ
  • パラオ
  • カンボジア
  • メキシコ
  • サウジアラビア
  • チリ
  • ミャンマー
  • タイ
  • フィリピン
  • セネガル
  • チュニジア
  • アゼルバイジャン
  • モルドバ
  • ジョージア
現在のJCM署名国と実施案件数の内訳は以下の通りです。タイ、インドネシア、ベトナムでの実施が圧倒的に多いのがわかります。
JCM(二国間クレジット制度)の署名国ごとの実施案件数(2013年1月〜2022年9月まで)

JCMの展望

日本は、国際的に炭素排出の削減に貢献するためにJCM(二国間クレジット制度)を実施しています。実際に令和3年10月22日に閣議決定された「地球温暖化対策計画」では、JCMを通じて2030年度までに累積1億トン程度の国際的な排出削減に貢献するとしています。 実際に、日本政府はJCMの取り組みを加速させるために国際的なルールづくりに取り組んでいます。例えばJCMで実施している脱炭素に向けた国境を越えたアプローチは、国際的な炭素排出削減についての合意であるパリ協定にも規定があります。パリ協定6条の市場メカニズム「国際的に移転される緩和の成果(ITMOs)」の活用を含む協力的アプローチがそれに該当します。日本はこの議論を主導し、2021年のCOP26でこのアプローチの枠組みについて合意に達しています。 また、環境省はJCMで注力する分野として「再エネ(太陽光、風力、水力など)」「グリーン物流(ノンフロン冷却装置、モーダルシフトなど)」「廃棄物インフラ(廃棄物発電、リサイクル施設、最終処分場等)」の3つを挙げていて、2021年12月までに実施されたJCMでは50%が再生可能エネルギー関連を占めています。

参考