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相場がわかる!太陽光発電のランニングコストの項目とその金額を解説

Image by Gerd Altmann from Pixabay

「太陽光発電はメンテナンスフリーって言うけど、本当にランニングコストかからないのかな」

こんなふうに思ったことありませんか。

しかし、実際にはランニングコストは0円ではありません。

たとえば、経済産業省の調査などではランニングコストの中でも、維持・メンテナンスにかかる費用は「設備容量1kWあたり5,000円程度」とされています。

この記事では、そんなランニングコストの全体像と相場感を以下の項目に分けてご紹介します。
①電気代
②税金
③維持・メンテナンス
④保険費用
⑤廃棄積立費用

この記事を読むことで、平均的なコスト項目とその金額がわかります。

電気代

電気代は4kwあたり月額240円

太陽光発電を動かすために必要な電気代は、高く見積もっても「設備容量 4kW あたり240円程度」です。

この電気代は、パワーコンディショナーと言う機器を動かすために使う電気の料金です。太陽光発電で作った電気は、一般的な電子機器で使えるように変換する必要があります。その変換装置がパワーコンディショナーです。

東京電力だと、パワーコンディショナーの電気料金は一番高い契約形態で「1台あたり240円程度」です。また、パワーコンディショナーは最大出力 4kW のものが主流の一つです。そのため、「設備容量4kWあたり240円程度」としています。

しかし、前述の通り、これは高めの見積もりと思っていただきたいです。より正確には、パワーコンディショナーの種類、出力容量、単相か三相かなどでも異なってきます。

税金

固定資産税は設備の購入費用に応じて金額が変わる

事業用の太陽光発電設備には固定資産税がかかります。

例えば、1000万円の設備を導入した場合は最初の5年間は以下のように固定資産税がかかります。

固定資産税については、詳しくはこちらの記事を参照ください。税制優遇措置についてもまとめています。

事業税は売電金額に応じて金額が変わる

売電をしている場合は事業税がかかります。基本的には、事業の収益の一部として事業税の課税対象になります。

この計算においては控除できる項目などもあり、当メディアの専門外であるため、詳しくは専門家の意見を仰ぐようにしてください。

維持・メンテナンス

維持・メンテナンスにかかる費用は大きく分けて以下の2つです。
①定期点検(法定点検)
②メンテナンス

それぞれ費用を説明します。

定期点検の実施義務化は、「50kW以上」か「FITやFIP」を利用している場合

50kW以上の設備は、電気事業法で定期点検の義務が課されています。

50kW未満の設備は、FITやFIPを利用する場合には、再エネ特措法施行規則によって義務が課されています。

定期点検費用は1kWあたり年間5,000円

定期点検にかかる費用は、経済産業省・資源エネルギー庁の「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」によると「1kWあたり年間5,000円」です。

太陽光パネルのメンテナンス、洗浄費用はは業者、設置場所によって異なる

太陽光パネルの洗浄は、業者によって料金設定がまちまちです。

一般的な価格の設定は、「基本料金5万円程度+パネル1枚あたり500~1,000円」が多いようです。

保険費用

一般的に加入割合が多いのは、火災保険

そもそも太陽光発電の保険は大きく分けて3種類あります。
①自然災害から設備を守る保険(火災保険、地震保険)
②第三者への損害賠償保険
③発電停止時の利益補償の保険

中でも最も多く加入されているのが火災保険です。2018年に出された「平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査)」によると、各保険の加入率は以下のようになっています。


(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査)」https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000206.pdf
※利益披見は、「③発電停止時の利益補償の保険」に該当します。

火災保険の費用は、49kWの設備で年間84,672円

前述の2018年の調査では、火災保険の費用は49kWの場合、年間で84,672円でした。

また、低圧、高圧・特別高圧それぞれの「kWあたりの月額」保険料は以下の通りです。


(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査)」https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000206.pdf

廃棄積立費用

FITやFIPを使うなら支払い必須

FITやFIPの場合は、廃棄に要する費用を積み立てることが義務付けられています。

この積み立ては買取期間の終了10年前から始まります。そのため、事業用の場合はFITやFIPの開始後10年は支払い義務がないですが、その後は支払いが発生します。

ただし、FITやFIPを使わない場合でも廃棄コストは必ず発生します。そのため、必要なコストの目安として認識しておく方が良いです。

積立額は売電量によって変わる。20kWの設備だと「売電量 × 1.33円 / kWh」

年間の積立額は20kWの設備で50%を売電した場合は年間1.3万円程度です。

積立額は、以下の計算式で求められます。

以下の通り、基準額は設備容量によって変わります。


(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「廃棄等費用積立ガイドライン」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/haiki_hiyou.pdf

そのため、20kWの設備で50%売電の場合は以下のような計算です。
・基準額:1.33円 / kWh
・売電量:10,000kWh(年間発電量が20,000kWhとして、その50%を売電する計算)
・積立額:1.33万円

PPAなら、ランニングコスト・初期コストをかけずに太陽光発電を導入できる

導入コストやランニングコストを全くかけたくない方には「PPA」もお勧めできます。

PPAでは、電力を必要とする企業がPPA事業者に場所を提供し、PPA事業者が所有する発電設備をそこに設置してもらい、そこから発電された電気を購入する契約形態のことです。

オンサイトPPAの概要

PPAのメリットデメリットに関しては、こちらの記事で解説しています。

まとめ

ランニングコストとして以下の5項目に分けて確認してきました。
①電気代
②税金
③維持・メンテナンス
④保険費用
⑤廃棄積立費用

また、ランニングコストも初期費用もかけない方法としてPPAと言う方法もご紹介しました。

それぞれ、発電容量や売電量などによって金額が変わってきます。ここでお伝えした相場感を今後の検討の目安として是非お使いください。

参考

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