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原因 脱炭素

お得に地球温暖化の対策を!5分でわかる地球温暖化と火力発電の関係

2022年の夏は世界各地で暑さが猛威をふるっていました。日本でも初めて6月に気温40度を超える「酷暑日」が観測されました。

この猛暑の背景には地球温暖化があります。その地球温暖化をとめるために世界では火力発電を含む化石燃料の使用をやめようという大きな流れがあります。

この記事では「火力発電はどれくらい地球温暖化に影響を与えているのか」、また「私たちが火力発電による地球温暖化への影響を抑えるために何ができるのか」をわかりやすく解説していきます。

火力発電は地球温暖化に大きく関係している

火力発電が地球温暖化に与えている影響を知る前に、そもそも地球温暖化は何によって引き起こされているのかを確認します。

地球温暖化のメカニズム

地球温暖化に大きな役割を果たしているのは、温室効果ガスと呼ばれる物質です。温室効果ガスは、太陽からの熱がすべて宇宙空間に逃げてしまうのを防ぎ、地表を人間が快適に活動できる温度に保つ役割をしています。

地球の熱を保つ仕組みは以下の通りです。
①太陽の光によって地表が暖められる
②地表が放出した熱を温室効果ガスが一部吸収し、大気を暖める

つまり酷暑などで問題視されている地球温暖化とは、温室効果ガスが増えすぎた結果、吸収される熱の量が過度に多くなりすぎたために引き起こされるのです。

地球温暖化には増えすぎた温室効果ガスが関係していることがわかりました。次は、「温室効果ガスとはなにか」、その中でも「最も増加している温室効果ガスは何か」を見ていきます。

地球温暖化の主な原因は二酸化炭素

まずは、温室効果ガスと呼ばれているものには何が含まれているのかを見ていきます。

国連気候変動条約枠組みで定義されている温室効果ガスは7つあり、「二酸化炭素」「メタン」「一酸化二窒素」「ハイドロフルオロカーボン類」「パーフルオロカーボン類」「六フッ化硫黄」「三フッ化窒素」です。

それぞれ以下の表に掲げる通り温室効果が異なっています。最も頻繁に耳にする「二酸化炭素」が一番弱く、牛のゲップから排出されることで有名な「メタン」がその次で、一番強力なのが電気の絶縁体などに使われている「六フッ化硫黄」という化学物質です。


(全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト. 「1-02 温室効果ガスの特徴」. https://www.jccca.org/download/13266 より筆者作成)

次に、最も増加している温室効果ガスは何かを見ていきます。つまり地球温暖化問題において最も削減する必要があるのは何かです。

温室効果ガスは、種類によってそれぞれ温室効果が異なります。そこで、二酸化炭素を基準に排出量を換算し直したのが以下の図です。図を見ると、二酸化炭素の排出量が圧倒的に多く、温室効果ガスの90%以上を占めていることがわかります。

温室効果ガスの排出量推移
(環境省. 「温室効果ガス排出の現状等」. https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/003_03_00.pdf より筆者作成)

温室効果ガスの中でも、特に深刻なのが二酸化炭素の排出量増加であることがわかりました。次は、日本で二酸化炭素の排出量が多い分野が何なのかをみていきます。

日本の二酸化炭素の40%はエネルギー転換部門から出ている

日本で二酸化炭素排出量が多いのはエネルギー転換部門で、国全体からの排出量のおよそ40%を占めています。

下図は2020年の日本の二酸化炭素排出量を、「電気・熱配分前」の状態で部門別に示しています。電気・熱配分とは、電気事業者と熱供給事業者がそれぞれ発電や熱を発生させた時に排出した二酸化炭素を、電気や熱の需要側である産業や家庭部門にその消費量に応じて配分することです。そのため、下図では発電時に発生した二酸化炭素は供給側である電気事業者の排出としてカウントしています。

【電気・熱配分前】日本のCO2の部門別排出量の割合(2020年)
(国立環境研究所. 「温室効果ガスインベントリ」.https://www.nies.go.jp/gio/aboutghg/index.html より筆者作成)

エネルギー転換部門とは主に、石炭や石油といった一次エネルギーを電力などの二次エネルギーに転換する工程、いわゆる発電です。実際、発電による二酸化炭素排出量はエネルギー転換部門の総排出量の大部分を占めています。2020年の温室効果ガスインベントリの資料によるとエネルギー転換部門の総排出量は約42億トンで、発電は39億トンと90%を超えています。

エネルギー転換部門のCO2排出量内訳と推移
(国立環境研究所. 「温室効果ガスインベントリ」.https://www.nies.go.jp/gio/aboutghg/index.html より筆者作成)

ここまでで、日本の二酸化炭素排出量の大きなカギを握っているのが発電であることを確認しました。次に、発電の種類とそれぞれの二酸化炭素排出量を確認し、二酸化炭素削減のポイントがどこにあるのかを見ていきます。

日本の電源構成は76%が火力発電

日本の電力生産の76%を占めるのが火力発電です。下図は、経済産業省・資源エネルギー庁の総合エネルギー統計による2021年度の電源別の発電量です。火力発電は、図中の「石炭」「天然ガス」「石油等」です。

日本の電源構成別の発電電力割合(2021年度)
(経済産業省・資源エネルギー庁. 「令和3年度(2021年度)エネルギー需給実績(速報)(令和4年11月22日公表)」. https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/gaiyou2021fysoku.pdf より筆者作成)

また、発電量だけではなく、それぞれの電源の発電1kWhあたりの二酸化炭素排出量も火力発電が圧倒的に多いです。

下図は、各種電源の1kWhあたりのライフサイクルCO2排出量を示しています。図中の赤背景が燃料の燃焼によるCO2の排出量です。ここだけをみると、火力発電(石炭火力、石油火力、LNG火力)だけがCO2を排出していて、一番CO2排出の少ないLNG火力でさえも1kWhの発電に474gのCO2を排出していることがわかります。

電源別のライフサイクルCO2排出量
(出典:日本原子力文化財団. 「各種電源別のライフサイクルCO2排出量」. https://www.ene100.jp/zumen/2-1-9

ここまでで、火力発電による発電量が日本では一番多く、また火力による発電は1kWhあたりで排出される二酸化炭素も多いことが確認できました。

では、二酸化炭素の排出量が多いにも関わらず、火力発電はなぜ使われているのでしょうか。次は、火力発電のメリットとデメリットについて見ていきます。

火力発電のメリットとは

関西電力グループのウェブサイトでは、火力発電のメリットが大きく3つ挙げられています。まず一つ目は発電量の安定性です。二つ目は出力調整が簡単であることです。そして、三つ目はエネルギー変換効率の高さです。

特に、ここでは一つ目の発電量の安定性について説明します。基本的には、電気は保存しておくことができません。そのため、需要と供給のバランスを崩さないように発電する必要があります。そこで、火力発電は燃料さえあれば発電を続けることができるため安定しているというわけです。反対に、再生可能エネルギー(太陽光発電など)は天候に左右されてしまうため安定供給が難しいということです。

火力発電のデメリットとは

前掲の関西電力グループのウェブサイトでは、火力発電のデメリットについて2つ挙げています。一つ目は、二酸化炭素排出量が多いことです。二つ目は、火力発電をするために必要な燃料を外国からの輸入に頼っている点です。

一つ目に関しては記事の前半部分で述べているので、ここでは二つ目の燃料に関して説明します。

日本は石油、石炭、LNGといった火力発電の燃料を海外からの輸入に大きく依存しています。これがデメリットである理由は、国内情勢とは関係ない、つまりどうしようもないことがきっかけで供給量や価格が変動する可能性があるためです。

まず、供給量が変動するかもしれない事例についてです。日本の原油は90%以上を中東からの輸入に依存していますが、中東は政情がとても不安定です。実際、2019年6月には重要な原油の輸送路で日本関係船舶が攻撃を受けるという事例も発生しています。このように輸送事態がままならなくなる可能性もあるということです。

そして、価格の変動事例についてです。例えば、為替の変動で原油の価格が大きく影響を受けることがあります。実際、2022年後半から深刻化した円安の影響で原油価格が上昇しています。このことは、2022年10月27日にダイヤモンドオンラインの【石油業界崩壊の足音…1ドル150円突破の円安より深刻な「疑念」の正体】で、桃山学院大学経営学部の小嶌正稔教授が指摘しています。

記事では、原油価格の高騰が騒がれ出したのは、2022年前半のロシアのウクライナ侵攻がきっかけだったが、実は同年6月以降はアジアの基準価格とされている中東ドバイの原油価格は下落を始めていることが指摘されています。しかし、原油価格自体の下落に反して、輸入価格は上昇を続けていることも指摘されています。

原油価格と輸入価格の推移(2022年)
(出典:ダイヤモンドオンライン. 「石油業界崩壊の足音…1ドル150円突破の円安より深刻な「疑念」の正体」. https://diamond.jp/articles/-/311900

このことが一人の消費者としてよりわかりやすい事例として、ガソリン価格の高騰があります。ガソリン価格は、原油価格に連動して価格が決まっています。現在街中で見るガソリン価格一リットルあたり160円台後半になっているかと思います。しかし、この価格は政府からの補助金で価格高騰を抑えた結果の数字であって、この補助金がなかったら実際はもっと高騰しています。最新の11月14日の数字では、補助後の価格が167.8円で、補助なしの場合はなんと205.6円です。

ガソリンの全国平均価格と補助金の関係
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁. 「燃料油価格激変緩和補助金」. https://nenryo-gekihenkanwa.jp/

ここまでで、火力発電のデメリットをエネルギー自給率の観点から確認しました。

また、世界では地球温暖化の防止に向けた脱炭素(二酸化炭素排出削減)の取り組みが始まっています。では、日本が世界的な脱炭素の潮流を踏まえて、火力発電にどう対応していくのでしょうか。次は、日本の長期的な電源構成の目標について確認します。

日本の脱炭素に向けた動き

日本では2021年10月に、世界的な脱炭素の潮流に合わせて、新たな「エネルギー基本計画」が閣議決定されました。この計画では、2050年のカーボンニュートラル達成、2030年度の46%削減に向けたエネルギー政策の道筋が示されています。

以下では、その中でも特に電力供給や電力需要について説明します。(「エネルギー基本計画」の中では、車など電力以外の化石燃料をもとに動いているものを、非化石燃料から作った電気で動かすといった「電化」の重要性も言及されています。)

脱炭素に向けて重視されているのが、電力供給側の「低炭素化」を進めることと電力需要側の「省エネ」です。

再エネの導入

電力供給の「低炭素化」を実現するためには、炭素排出量が少ない電源の比率を上げることが重要です。そのため、2030年には再生可能エネルギーの導入割合を36〜38%にすることを目標としています。また、安全性の問題はありますが、二酸化炭素排出が少ない電源として原子力の導入を20〜22%まで引き上げることも掲げられています。

電源構成比の比較(2019年実績vs2030年目標)
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁. 「エネルギー基本計画の概要」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_02.pdf

さらなる省エネの推進

日本の脱炭素には、再エネ以外にも省エネが必要です。なぜなら、省エネを通じてそもそも必要な電力量を減らすことで、必要な発電量と発電に伴う二酸化炭素の排出を減らすことができるからです。実際、「エネルギー基本計画」においても省エネは重視されています。

以下の図は、2019年の省エネ実績と2030年の省エネ目標値を部門ごとに示しています。2030年には2019年の倍以上の省エネが目標づけられていることがわかります。(産業部門は第一次産業、第二次産業が該当します。業務部門は第三次産業が該当します。運輸部門は貨物と旅客両方を指しています。)

省エネ実績と目標値(2019年vs2030年)
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁. 「2030年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_03.pdf

また、以下の図は日本の「電気・熱配分」後の二酸化炭素排出量を部門別に示しています。つまり、発電時に発生する二酸化炭素を、消費量に応じて消費部門に配分したものです。これを見ると、省エネ目標が掲げられた各部門からの二酸化炭素排出量が大きいことがわかります。

【電気・熱配分後】日本のCO2の部門別排出量の割合(2020年)
(国立環境研究所. 「温室効果ガスインベントリ」.https://www.nies.go.jp/gio/aboutghg/index.html より筆者作成)

私たちができること

事業者としての私たちにできることは、積極的に再エネ発電を実施すること、省エネを進めること、再エネの利用をすることです。

「エネルギー基本計画」では、国の目標として、この10年弱で再エネ導入割合を現状の約2倍にすると宣言されています。実際この取り組みの例として、東京都では事業者向けに再エネ発電設備を導入する際の補助金を用意しています。
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/saiene-offsite
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/chisan-zokyo

「エネルギー基本法」の関連資料によると、国全体として建築物の省エネ化を進めていく姿勢が見えます。実際この取り組みの例として、東京都では、事業者向けに既存建築物の省エネ改修の補助金が出ています。補助額は最大1,000万円で、換気設備や高効率空調設備の更新・増設・新設が対象になっています。
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/vent

まとめ

火力発電が地球温暖化に与える影響が大きいことがわかったのではないでしょうか。また、この対策として国として「再エネ」「省エネ」を進めていこうとしていることもわかりました。

ここまで読んでいただいたあなたも、省エネや再エネに取り組み、みんなで一緒に次の世代に今よりいい社会・環境を残す役割を担ってみてはどうでしょうか?

参考