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原因 脱炭素

3分でわかる洪水の原因。急増する洪水とその被害、それって地球温暖化の影響かも

近年、世界各地で異常気象と言われる豪雨や猛暑などが多く発生し様々な被害が出ています。日本でも雨による災害は増えており被害は甚大です。この背景には地球温暖化の影響があると考えられています。この記事では洪水が起きる原因として、地球温暖化の影響があるのではないかという点を解説していきます。そこでまずは、雨が降る仕組みを明らかにし、約100年単位で見た時の気温と降水量の変化の関連性を詳しくみていきます。

洪水はどのように発生するか

洪水は、大雨などにより川の水が増え堤防を越えて広がったり、水の強い圧力で堤防が崩れることにより発生します。また、下水道施設や排水路の排水能力を超える大雨が降り、処理が追いつかずに溢れて起こることもあります。

ではなぜ、洪水を起こすような大雨が降るのでしょうか?

そもそも雨が降る仕組みとは

一般的に、雨は空気中に含まれる水蒸気が雲の中で集まり、地上に落ちてくる現象です。空気は気温が高くなるほど水蒸気を多く含むことができ、気温が 1℃上昇すると水蒸気の量が 7%程度増加すると言われています。そのため気温の上昇で大気中の水蒸気の量が増加すると、一度に降る雨の量は多くなるとされています。

つまり、気温の上昇によって空気中の水蒸気の量が増え、結果として大雨の発生確率が上昇していると考えられているのです。

では、実際に気温は上がってきているのでしょうか?

日本でも平均気温の上昇が続いている

地球温暖化の影響を受け、世界の気温は上昇していると言われています。日本でも各地域の観測データから、年平均気温が上がり続けていることが示されています。ここでは気象庁のデータを元に、いくつかの地域の気温について見ていきます。

下のグラフは、気象庁のデータを元にした札幌、東京、京都、那覇の年平均気温の推移です。このグラフから、平均気温が上昇傾向にあることがわかります。※那覇(緑のライン)の1945年の年平均気温については、利用可能な観測データが該当期間は1月のみであるため、異常に低い値となっています。

年平均気温の推移
(気象庁. 「過去の気象データ検索」https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php?prec_no=&block_no=&year=&month=&day=&view= より筆者作成)

ここまでで、大雨の原因は気温の上昇によって大気中の水蒸気量が増えることであり、実際に年平均気温は上がってきているということが確認できました。では、気温上昇によって大雨は具体的にどれくらい増えているのでしょうか?

災害が懸念される雨の発生が増加している

気象庁では、1時間あたりの降水量によって用語の使用を変えると同時に、それぞれがどのくらいの強さであるかを定義しています。以下がその詳細で、表の下にいくほど雨が強くなっていきます。

雨の強さと振り方
(出典:気象庁. 「雨の強さと降り方」.https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html.)

図の一番下の二つは、1時間に50mm以上の雨です。このレベルの雨だと傘は全く役に立たず、水しぶきによって視界が悪くなり、車の運転も危険だとされています。当然、戸外での行動は非常に危険であることが想像できます。さらに災害の発生も懸念されます。

ではこのような危険な雨は、どのくらい発生しているのでしょうか。1時間の降水量が50mm以上の年間発生回数を見てみましょう。

以下のグラフは気象庁の「[全国アメダス]1時間降水量50mm以上の年間発生回数」というデータを元にしています。グラフからは、発生回数は増加傾向にあることが分かります。

50mm降水量 年間発生回数(1300地点あたり)
 (気象庁. 「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化[全国アメダス]1時間降水量50mm以上の年間発生回数」.https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html より筆者作成)                      

次に年間発生回数の平均を比較してみましょう。上記のグラフの期間を5年ごとに区切り、発生回数の平均をみると、発生回数が増加傾向にあることがより明確に確認できます。

50mm以上の降水量発生回数
(気象庁. 「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化[全国アメダス]1時間降水量50mm以上の年間発生回数」.https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html より筆者作成)                    

では、雨による災害や被害についても同様に増加しているのでしょうか。

土砂災害の発生件数と被害額も増加傾向にある

国土交通省の「令和3年版国土交通白書」によると、土砂災害発生件数は増加傾向にあり、2018年(平成30年)は過去最多の3,459件の災害が発生していることが示されています。  

土砂災害の発生件数の推移
(出典:国土交通省. 「令和3年版 国土交通白書 PDF」https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r02/hakusho/r03/pdfindex.html)                                                                                   

また、国土交通省は年単位の水害による被害額を公表をしています。以下はそれをグラフ化したものです。被害額についても、増加の傾向にあることが確認できます。

水害被害額の推移
 (国土交通省の平成17年から令和2年までの水害による被害額のデータを元に筆者作成)

統計開始以来最大の被害額とされているのが2019年です。静岡県や関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となった東日本台風が発生しました。この台風では、全国 142 箇所で堤防が決壊し甚大な被害が発生しています。

次いで被害額が大きい2018年は、7月に全国の広い範囲で長時間の記録的な大雨があり、過去最も多くの土砂災害が発生した年となりました。

今後も気温は上昇し、激しい雨も頻発すると予測されている

ここまでで日本では、「年平均気温」が上昇傾向であり、「激しい雨の発生件数とそれに伴う水害による被害額」も上昇傾向であることがわかりました。では、このような傾向は今後も続いていくのでしょうか。

気象庁は、「地球温暖化予測情報第9巻」において、有効な地球温暖化対策を行わなかった場合の気候予測をまとめています。その中で、21 世紀末には、年平均気温は全国で4.5℃増加するとしています。地域別上昇幅の予測については下記の通りです。

地域別年平均気温の上昇幅
(気象庁. 「地球温暖化予測情報 第9巻」.https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/GWP/Vol9/pdf/all.pdfより筆者作成)

また雨の年間発生回数についても「1 時間降水量 50mm 以上の短時間強雨」は全国平均で 2 倍以上となると想定しています。

平均気温の上昇を防ぐためにできること

将来的に、地球温暖化による更なる気温上昇や、それに伴う「激しく降る雨」の頻発が予測されています。地球温暖化の主な原因は二酸化炭素の排出量が増え続けていることであるとされていて、電気を作ったり、車を動かしたりする際に排出されます。

そのため、二酸化炭素の排出を抑えるためにはよりクリーンな方法で電気を作る「再生可能エネルギーの導入」や、電力消費を抑える「省エネ」、車などの化石燃料を使って動いているものを再エネ由来の電気を元に動かす「電化(電気自動車など)」が重要になってきます。

ここまで読んでくださった読者の方も、できるところから「再エネ導入」「省エネ」「電化」を始めてみませんか。これらの取り組みには、各都道府県がさまざまな補助金を用意しています。一例として、東京と神奈川では以下のような補助金が用意されています。

東京都の助成制度

再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業
東京都外に設置する再生可能エネルギー発電設備からの電力調達に取り組む都内の電力需要家に対し、再生可能エネルギー発電設備の導入に必要な経費の一部を助成する制度です。
(クール・ネット東京. 「再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業」.
https://www.tokyo-co2down.jp/wp-content/uploads/2022/11/saienedonyu_shien_guide_2211.pdf.)

神奈川県の助成制度

自家消費型太陽光発電等導入費補助金
県内に自家消費型の太陽光発電等を導入する法人等に対し、設備導入に必要な経費の一部を補助する制度です。
(神奈川県. 「令和4年度神奈川県自家消費型太陽光発電等導入費補助金」.
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e3g/images/jikashouhi.html.)

まとめ

今回の記事では、地球温暖化の影響により非常に激しく降る雨の回数が増えており、土砂災害の発生や被害額も増加傾向にあることを解説してきました。地球温暖化の大きな要因とされている二酸化炭素の排出が増え続ければ、このような雨の発生はますます増えるとの予測もされています。

地球温暖化の進行を止めることでこういった自然災害の発生回数を抑えて、最終的には私たちの生活への影響も最小限に抑えることができます。そのためにも、補助金などを活用した「再エネ導入」「省エネ」「電化」を検討してみてはいかがでしょうか?

参考