Rear view of the elementary school students go to school four
太陽光発電

学校へ太陽光発電を導入する!効果や方法を解説

学校へ太陽光発電を導入!その効果や方法を解説

昨今、環境問題や日本のエネルギー安全保障についての話題が多く出てきました。そんな時に、学校として取り組めることの一つが太陽光発電の導入です。

そこでこの記事では、学校に太陽光発電を導入するとなると気になる以下の点について説明します。
①メリットは何か
②どこに導入できるのか
③導入に必要になるコストはいくらなのか

学校へ導入するメリット3つ

太陽光発電を学校へ導入するメリットは大きく3つあります。
①電気代の削減ができる
②教育効果がある
③非常用施設としての機能が向上する

続く章で、それぞれ詳しく説明していきます。

電気代の削減によって、資金の有効活用ができる

20kWを導入したら、12〜27% 電気代の削減効果あり

太陽光発電を導入することで、電力会社から購入する電気代を抑えることができます。

文部科学省の資料によると、平均的な学校(延床面積5,000㎡)が20kWの設備を導入した場合、年間の電力需要を12〜27%程度削減できるとされています。

もう少し具体的に計算すると、20kWの設備を設置して節約できる電力代は 36.8 万円です。節約できる電気代は以下のように求められます。

次に具体的な値を上の式に当てはめてみます。20kWの年間発電量が「20,000kWh」であり、学校が契約する「高圧」の平均的な電気代は「18.4 円 / kWh」です。

項目
年間発電量 20,000kWh
高圧の電気代 18.4円 / kWh
全国平均の電気料金の推移

コストカットして浮いた資金を様々な用途に活用できる

削減して浮いた電気代を様々な用途に工夫して利用することができます。

例えば、埼玉県熊谷市立奈良中学校では、電気代の削減分は教育委員会の学校維持費として利用されています。また、山梨県昭和町立西条小学校では、電気代の削減額は学校の活動経費として活用されています。

教育効果がある

太陽光発電設備の学校への導入で、「エネルギー」「環境」といった問題に対する教育効果も期待できます。それ以外にも、子どもの社会性を育てる役割も期待できます。

なぜなら、発電設備を実際に目にすることによって、電気(エネルギー)を作ることがより身近に感じられるようになるからです。

また、太陽光発電は環境問題に対する有効な対策の一つでもあるため、環境問題の解決に向けた行動を取ることについてより自分ごととして考えるきっかけにもなります。

さらに、NPOなどの専門家を招いて学習などを行うことによって、地域と子どものつながりを深め、社会性を育むチャンスが生まれます。

文部科学省は、より具体的に太陽光発電導入の教育上の意義を例示しています。たとえば、学習指導要領における環境教育の以下の点を充実させられるとしています。(出典:文部科学省「学習指導要領における環境教育の主な充実例」)

学校区分 社会科・地理歴史科・公民科 理科 家庭科、技術・家庭科
小学校 ・節水や節電などの資源の有効利用(第3・4学年) ・自然環境、伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域(第3・4学年)・国土の保全などのための森林資源の働き及び自然災害の防止(第5学年) ・自然環境を大切に、その保全に着しようとする態度の育成(内容の取扱い) ・身近な自然の観察(第3学年)・生物間の食う食われるという関係などの生物と環境とのかかわり(第6学年) ・自分の生活と身近な環境とのかかわりに気づき、物の使い方などを工夫(第5・6学年・家庭科)
中学校 ・持続可能な社会の構築のため、地域における環境保全の取組の大切さ(地理的分野) ・地域環境、資源・エネルギーなどの課題解決のための経済的、技術的な協力の大切さ(公民的分野) ・自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察(第3学年・第1・第2分野共通) ・地球温暖化、外来種(第3学年・第2分野) ・生物の成育環境と育成技術、生物の育成に関する技術を利用した栽培又は飼育(技術・家庭科(技術分野)) ・自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考え、環境に配慮した消費生活について工夫し、実践できること(技術・家庭科(課程分野))
高等学校 ・世界の資料・エネルギーなどの問題を大観(地理B) ・持続可能な社会の形成に参画するという観点から課題を探求する活動(現代社会) ・持続可能な社会をつくることの重要性も踏まえながら環境問題等の内容を取り扱う(内容の取扱い) ・環境負荷の少ない生活、持続可能な社会を目指したライフスタイルを工夫し、主体的に行動する。(家庭科)

発電力があると、避難所としての防災機能が向上する

学校施設の防災機能を備えるためには、電力が欠かせません。逆にいうと、電力があるだけでも防災機能のレベルは格段に向上、もしくは改善への大きな一歩を踏み出します。

なぜなら、避難所に求められる機能の大部分が電力がないと動かないためです。

例えば、避難所としての重要な機能の一つに外部との情報伝達があります。これには電話や無線、インターネットなどを使います。しかし、全て電力がないと機器が動きません。つまり、電力がないと外部との情報のやり取りができず孤立してしまう可能性があるのです。

また避難生活においては、照明や温度調整のための設備の稼働も必要です。これらも電力がないと動かないです。

実際、国立教育政策研究所の調査では、避難場所施設に必要な機能として以下の5つを挙げています。電気は必要な機能として名指しされている上、「③情報伝達」「④室内環境」の機能は前述の通り電気がないと成立しないため、重要性がとても高いと認識されていることがわかると思います。

①トイレ・シャワー
②電気、水、ガス
③情報伝達手段
④室内環境(暑さ、寒さ対策)
⑤要援護者対策
⑥必要物資の備蓄 (参考:国立教育政策研究所・文教施設研究センター「避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究」研究会. 「 学校施設の防災機能の向上のために」)

導入できる場所は主に4つ

太陽光発電を導入できる場所としては、以下の4つが主に挙げられます。

①屋上
②屋根の縦材として
③壁面
④庇

一番ポピュラーなのは屋上設置です。なぜなら、設置面積が一番大きい可能性があり、また既設建造物でも屋根を取り替えるなどの大幅な工事が必要ないためです。

導入に必要な費用は20kWなら510万円

太陽光発電の導入に必要な費用は、20kWの設備であれば510万円と言われています。

導入に必要な費用は、経済産業省が実際に導入した事例から統計データを出しています。それによると、設備容量ごとの「kWあたりの費用」は以下の通りになっています。

設備容量 システム費用(万円)
10 ~ 50kW 25.5
50 ~ 250kW 18.3
250 ~ 500kW 17.2
500 ~ 1,000kW 17.6

つまり、20kWの設備の場合、「1kWあたりの費用」は25.5万円です。そのため20kWを導入すると、510万円になります。

学校施設環境改善交付金が使える

国から地方公共団体への交付金の一つです。

学校の施設としての安全性を確保することを目的としています。その安全性は、児童の日常生活の観点と災害発生時の緊急避難場所としての両方を指しています。

太陽光発電の場合は、最大で経費の2分の1を補助してもらえます。

まとめ

太陽光発電を学校に導入するときのメリットと費用、使える補助金について紹介しました。

昨今では世界情勢が不安定ですが、日本は資源が乏しくそのほとんどを輸入に頼っています。その影響もあってか、電気代の高騰などで実際の生活に影響が出ています。こういったエネルギーの問題について未来を担う子供達にちゃんと知ってもらうことは、今後の日本社会の安定性を考える上で、とても大きな意味があります。

また、日本はエネルギーの問題がなくても自然災害が多い国です。そのため、それに備えてエネルギーを自家発電できる体制を整えるのは地域社会の安定性にもつながります。

導入にはまとまった費用がかかってしまいます。しかし、上記のような事情を踏まえると、太陽光発電の導入はその費用を負担してもあまりある恩恵を長期にわたって得られるのではないでしょうか。

今回の記事が、学校への太陽光発電導入に関する検討の一助になれば幸いです。

参考