Solar panel, photovoltaic, alternative electricity source - concept of sustainable resources
再エネ 太陽光発電

150㎡で27kWh!太陽光発電1日の発電量の計算の仕方

太陽光発電の導入となると、気になるのが1日あたりどれくらい発電できるのかですよね。

まずはざっくりと知りたいけど、太陽光発電パネルの性能や、地域による日射量の違いなど多くの要素が関係しそうでむずかしいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は目安となる数字は簡単に割り出すことが可能です。

この記事では以下について紹介しています。
①面積から1日あたりの発電量目安を知る方法
②より詳細に、地域別季節による発電量の目安を知る方法
③より発電効率を上げるためにできること

これがわかっているだけで、設置検討に必要な情報収集がより効率的に進むようになるでしょう。

面積から1日あたりの発電量の目安を知る方法

1日あたりの発電量目安は、面積→設備容量→発電量という流れで把握することができます。

つまり、ポイントは以下の2点です。
①面積から、設置容量の目安を把握する
②設置容量から、発電量の目安を把握する

設備容量は、設置面積15㎡当たり1kW

設備可能容量の目安は、環境省の調査によると設置面積15㎡につき1kWとされています。

設備容量を決める要素は①パネル面積、②設置場所の外周、③パネル間のスペースの3つです。

太陽光発電の設置面積を決める3つの要素

設置面積と設置容量についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。設置面積を狭める工夫についてなどを記載しています。

1日の発電量目安は、設備容量1kWあたり2.7kWh

1日の発電量目安は、設備容量1kWあたり2.7kWhです。

太陽光発電協会は、1年間の発電量目安を発表しています。それによると、設備容量1kWあたり1,000kWhとされています。つまり、それを365日で割り算すると2.7kWhになるわけです。

設置面積が150㎡なら1日の発電量目安は、27kWh

以下の表は、1日あたりの発電量目安を、面積→設備容量→発電量という流れに沿って表現しています。

Table by Visualizer

より詳細な目安を知る方法

より詳細な地域や季節ごとの発電量の目安を計算する方法をご紹介します。

1日あたりの発電量は「日射量×設備容量×損失係数」

地域や季節ごとの詳細な発電量の目安は、以下の計算式を用いることで導けます。

つまり、以下の2ステップを行う必要があります。
①設備容量を取得する
②地域、季節ごとの日射量を取得する

損失係数とは、太陽光パネルの変換効率、パネルの汚れ、パネルの温度が上昇し過ぎた場合、パワーコンディショナーの変換効率などによる出力の損失を考慮した値です。NEDOは「0.73」と定義していますので、それを流用します。

①面積から設備容量を取得する

設備可能容量の目安は、前述の通り、環境省の調査では設置面積15㎡につき1kWとされています。

②地域ごとの平均日射量を取得する

東京の1日の平均日射量を100%とすると、地域によって「-10% 〜+10%」の差異があります。それを示したのが以下のグラフです。

10kWの設備の場合、各地で1日あたり「25kWh 〜 30kWh」の発電量が見込める

先ほどの式に当てはめると以下のようになります。どの地域でも「25kWh 〜 30kWh」の発電が見込まれています。

Table by Visualizer

②月ごとの平均日射量を取得する

以下のグラフは、月毎の1日の平均日射量の全国平均を表したものです。4〜8月にかけてが一番平均日射量が多いです。また、夏はおおよそ冬の2倍程度の日射量があることがわかります。

10kWの設備の場合、1日あたりの発電量は15〜40kWhのばらつきが生じる

先ほどの式に当てはめると以下のようになります。一番発電量が少ない12月と、一番発電量が多い5月ではおおよそ「15〜40kWh」もの差があることがわかります。

参考)各地の月毎の平均日射量

参考までに、各地の月毎の平均日射量を表にしました。単位は、「kWh / ㎡ / 日」です。

この値を「設備容量×日射量×損失係数」の日射量に当てはめていただければ、お住まいの地域での月毎の発電量を算出することができます。

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太陽光発電の効率を上げる方法4つ

地域ごとに多少異なるが、真南向きに30度の設置角でパネルを設置する

太陽光発電の効率が一番良くなるのは「真南に、30度の設置角」で設置された時とされています。

上述の日射量のデータは、真南に30度の角度の時の値を示しています。そのため、それ以外の方角・角度で設置する場合は、日射量と発電量が落ちる可能性があります。

例えば、東京都下水道局の資料では、傾斜角を30度→10度にすると発電効率が約5%落ちるというデータもあります。

太陽光発電の設置角度による日射量
(出典:東京都下水道局. 「東京都下水道局 技術調査年報 -2016- Vol.40」)

電力の変換効率が良いパワーコンディショナーを選ぶ

パワーコンディショナーとは、太陽光発電で作った電力を一般の電子機器で使えるように変換する設備です。

性能が良いパワーコンディショナーのを選ぶことも重要です。なぜなら、太陽光発電→パワーコンディショナーの変換時に少なからずロスが発生しますが、製品によってその変換効率が異なるためです。

Table by Visualizer

定期的にメンテナンスを行う

定期的に太陽光パネルの清掃を行うことも大切です。

なぜなら、パネルの汚れによって発電効率が落ちることがあるためです。実際、川崎市の実証では、こんなことがありました。川崎市にある扇島太陽光発電所では、設置から4年で20%も発電効率が落ちてしまっていました。これは、一般的な劣化率は4年で2%とされているため、10倍近い値です。

平成24年度を基準とした劣化率の比較(一般的な値 VS 扇島太陽光発電所の値)
(出典:水産庁「漁港のエコ化方針(再生可能エネルギー導入編) 巻末資料:事業性検討シートの利用法(太陽光発電)」https://www.jfa.maff.go.jp/test/keikaku/pdf/kanmatusitoriyouhou.pdf と神奈川県川崎市. 「既設太陽光パネルの洗浄方法と発電効率に関する実証」https://www.city.kawasaki.jp/300/cmsfiles/contents/0000085/85802/170316fujiks.pdf から筆者作成)

同実証ではパネル洗浄後、最大で7.59%の発電効率の回復がみられたとしています。ここまで劇的な回復はあまり起きそうにないとしても、定期的なメンテナンスの大切さはおわかりいただけるかと思います。

まとめ

太陽光発電の1日の発電量の簡易的な方法と、より詳細な方法をご説明しました。

また、太陽光発電をより効率的に行うためにパネルの設置方角・角度、パワコンの選定や、メンテナンスの大切さもお伝えしました。

しかし、実際には全体としての発電量を優先して、ここでの説明とは異なる選択をすることもあり得ます。具体的には、パネルの設置角度を10度に抑え、より多くのパネルを導入するという選択です。

こういった点は工夫のし甲斐がある部分です。そのため、ここでお伝えした原則的な内容を踏まえて、詳細は施工業者に問い合わせください。そうすることで、より納得のいくプランで太陽光発電を導入できると思います。

参考