Business concepts, merit and demerit
再エネ 太陽光発電

デメリットは回避できる。太陽光発電のメリットとデメリット

「太陽光発電の導入をしたいけど、メリットとデメリットがいまいちよくわかってない」

こんな悩みをお抱えではないでしょうか。

この記事では、そんなお悩みを解消するために、メリットとデメリットについて解説します。また、デメリットの中でも一部については、回避することができます。そんなお得な方法についてもご紹介します。

メリット

太陽光発電の魅力は、大きく以下の4つに分けられます。それぞれ、続く章で具体的に説明します。
①本来は制御不能なエネルギーコストを、ある程度コントロールできる
②10kW設備の場合、電気代を年間約30万円も削減できる
③余った電気を売電することができる
④環境に良い

①本来は制御不能なエネルギーコストの変動を、ある程度制御できる

電力代などのエネルギーコストの変動は、本来は一企業の立場では対処のしようがありませんでした。しかし、太陽光発電を導入することである程度まで制御を可能にできます。

なぜなら、太陽光発電で作った電気を自社で利用することで、市場からの電力購入量を削減できるからです。つまり、購入電力量が減ることで価格変動の影響を軽減できるのです。

これはここ最近、特に2021〜2022年で電気代が大幅に高騰していることを考えるととても大きなメリットであると言えます。

全国平均の電気料金の推移
(出典:一般社団法人エネルギー情報センター. 「電気料金単価の推移」. https://pps-net.org/unit

②10kW設備の場合、電気代を年間約30万円も削減できる

太陽光発電を活用すると電気代の削減にもつながります。なぜなら、太陽光発電で作った電気を自社で活用することによって、市場からの電気購入量を減らせるためです。

例えば、10kWの設備を導入し、発電した電気を全部自社で使用する場合を想定します。すると、以下の通りになります。
太陽光発電10kwの設備で削減できる電気代の試算
・1kWの設備の年間発電量の目安は、太陽光発電協会によると、1,000kWhとされています。
・電気料金は、2022年(最新)の低圧電力の全国平均の値を参考にしています。

③余った電気を売電することができる

太陽光発電で作った電気は売ることも可能です。つまり、既存のビジネス以外でも収入を作ることができます。

しかし、実際のところは余った電気を売電するより、蓄電池に蓄えておいて自社で使い切る方がお得であると言えます。なぜなら、売電価格は年々減少傾向にあるからです。

以下のグラフは、FIT制度での買取価格の10年間の推移を表しています。これを見ると、実際に売電価格が減少していることが読み取れます。(FIT制度とは、簡単にいうと、国が再エネ電力を高く買ってくれることを約束している制度です。)

FITによる買取価格の推移(設備容量別)
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2012年度~2021年度)」.
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html、「買取価格・期間等(2022年度以降)」.
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.htmlから筆者作成)

④環境に良い

太陽光発電は環境に良いです。なぜなら、発電段階において、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を全く排出しないからです。

以下のグラフは、発電方法の種類別に「1kWh」の発電ごとに排出される二酸化炭素量を示しています。現在日本で主力となっている様々な火力発電と比較してみても、太陽光発電の二酸化炭素排出量が圧倒的に少ないことがわかります。

デメリット

導入費用が高い

太陽光発電の導入には、まとまった費用が必要です。実際、資源エネルギー庁の調査では、2021年に設置された産業用(10kW以上)の太陽光発電設備の設置費用の平均は「25万円 / kW」とされています。

以下のグラフは、設備「1kWあたり」の導入費用を表しています。設置容量が大きくなるほど、「1kWあたり」の導入費用は安くなる傾向にあります。

太陽光発電の導入費用(設備費と設置費)
(出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」から筆者作成. https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/073_01_00.pdf

定期点検・メンテナンスのコストが発生する

太陽光発電を安定して稼働させ続けるためには、定期点検やメンテナンスを行う必要があります。このコストは、資源エネルギー庁の調査によると、2020年に報告された産業用(10kW以上)の太陽光発電設備の運転維持費の平均は年間「0.54万円 / kW」とされています。

以下のグラフは、設置容量ごとの「1kWあたり」の年間の平均運転維持費を示しています。

システム容量ごとの「kWあたり」年間運転維持費用
(出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」から筆者作成. https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/073_01_00.pdf

デメリットを解消する方法

PPAを使って、初期費用・メンテナンス費用無料で太陽光発電を導入する

特に導入費用やメンテナンス費用の負担は、PPAという仕組みを使うことで回避することができます。

PPAでは、太陽光発電を導入したい事業者が敷地を提供し、PPA事業者が太陽光発電の設備を無料で設置してくれます。ただし、太陽光発電設備はPPA事業者の所有であるため、敷地を提供している事業者は発電された電力を使うために電力の使用料を支払います。

オンサイトPPAの概要
オンサイトPPAの概要

通常の太陽光発電の導入とは違い、初期費用やメンテナンスコストは発生しないのが利点です。

ただし、電気代の削減効果は通常の方法と比べると弱いです。なぜなら、電気の使用量をPPA事業者に支払う必要があるためです。

以下のような要望を持つ事業者には適した導入方法と言えます。
・電気料金の変動リスクを抑えたい
・環境価値を手に入れたい

補助金を使って、初期費用を削減して太陽光発電を導入する

太陽光発電の導入に対しては、多くの行政機関から補助金が出されています。

一番大きなデメリットがその導入費用であるため、補助金を活用できれば太陽光発電をよりお得に運用できると言えます。

まとめ

太陽光発電には電力の変動リスクを制御できたり、電力代金を削減できたり、環境に良いというメリットがあることが確認できました。

また、デメリットとしては発電設備の導入費用や運転維持費がかかってしまうことも確認しました。

そこで、デメリットを回避する方法としては、PPAや補助金を使った設備導入が考えられます。

メリットを最大限活かして太陽光発電を導入する一助になれば幸いです。

参考