大規模な太陽光発電の導入であれば、野立てへ設置することになるかと思います。そうなると、気になるのが費用がどれくらいになるかという点ですよね。
この記事では、太陽光発電の野立ての費用を導入時、運用時の2つに分けて解説します。また、収益性がどれくらいあるのかについても確認します。
この記事を読んで野立ての太陽光発電の導入の検討に役立ててみてください。
太陽光発電の野立ての導入に必要な費用は3つ
野立ての太陽光発電の導入時にかかってくる費用は以下の3つに分けることができます。
①設備費用
②設置費用
③手続き費用
続く章では、それぞれ詳しく解説していきます。
100kWの野立ての太陽光発電の設備費用は 1,160万円
100kWの設備を導入する場合は、設備費用に「1,160万円」かかる想定です。
例えば、2021年12月の経済産業省の資料に太陽光発電の導入コストの統計が発表されています。それによると、2021年に報告された太陽光発電導入事例での「1kWあたりの設備費用」は以下の表に示す通りです。
設備容量 | 設備費用(万円) |
---|---|
10 ~ 50kW | 14.82 |
50 ~ 250kW | 9.9 |
250 ~ 500kW | 9.26 |
500 ~ 1000kW | 9.18 |
上の表から分かる通り、100kWの設備を導入する場合は「1kWあたりの設備費用」は 9.9万円です。つまり、100kW分だと990万円になる計算です。
ちなみに、この設備費用に含まれているのは、主に太陽光パネル、パワーコンディショナー、架台、その他です。
100kWの野立ての太陽光発電の設置費用は 670万円
100kWの設備を導入する場合は、設置費用に「670万円」かかる想定です。
先ほどと同じ経済産業省の資料によると、2021年に報告された太陽光発電導入事例での「1kWあたりの設置費用」は以下の表に示す通りです。
設備容量 | 工事費用(万円) |
---|---|
10 ~ 50kW | 8 |
50 ~ 250kW | 6.7 |
250 ~ 500kW | 5.7 |
500 ~ 1,000kW | 5.7 |
上の表から分かる通り、100kWの設備を導入する場合は「1kWあたりの設置費用」は6.7万円です。つまり、100kW分だと670万円になる計算です。
整地が必要な場合は、設置費用に加えて整地費用が87万円
設置工事は、整地が必要な場合は追加コストが発生します。
一般的に、野立てへの太陽光発電設備の設置工事は以下の手順で進みます。
①造成(整地)
②基礎のコンクリート設置
③架台の設置
④パネルの設置
⑤パワコンの設置
つまり、造成(整地)をする場合は工事の工程が増えます。この造成が必要か否かは、プロの判断が必要です。
先ほどと同じ経済産業省の資料によると、2021年に報告された太陽光発電導入事例での「1kWあたりの土地造成費用」は以下の表に示す通りです。
設備容量 | 土地造成費用(万円) |
---|---|
10 ~ 50kW | 1.15 |
50 ~ 250kW | 0.87 |
250 ~ 500kW | 1.08 |
500 ~ 1000kW | 1.52 |
上の表から分かる通り、100kWの設備を導入する場合で、なおかつ整地が必要な場合の「1kWあたりの土地造成費用」は0.87万円です。つまり、100kW分だと87万円になる計算です。
100kWの発電設備が、送電線と接続するために必要な費用は 103 万円
100kWの設備を導入する場合は、送電線と接続をするための費用が「103万円」かかる想定です。
この費用は大きく以下の二つから成り立っています。
①接続検討費用
②接続費用(実際の工事費)
接続検討費用は20万円
接続検討費用は20万円+税です。
接続検討では、発電設備の場所や設備の仕様から系統連系の可否の判断や、連系するために必要な設備などを検討します。
接続費用は83万円
前述の経済産業省の資料によると、2021年に報告された太陽光発電導入事例での「1kWあたりの接続費用」は以下の表に示す通りです。
設備容量 | 接続費用(万円) |
---|---|
10 ~ 50kW | 1.53 |
50 ~ 250kW | 0.83 |
250 ~ 500kW | 1.16 |
500 ~ 1000kW | 1.2 |
上の表から分かる通り、100kWの設備を導入する場合の「1kWあたり接続費用」は0.83万円です。つまり、100kW分だと83万円になる計算です。
100kWの発電設備は、年間の運転維持費用は 48 万円
太陽光発電は初期費用だけではなく、一定の運転維持費用が必要です。
前述の経済産業省の資料によると、2021年に報告された太陽光発電導入事例での「1kWあたりの運転維持費用」は以下の表に示す通りです。
設備容量 | 運転維持費用(万円) |
---|---|
10 ~ 50kW | 0.53 |
50 ~ 250kW | 0.48 |
250 ~ 500kW | 0.49 |
500 ~ 1000kW | 0.59 |
上の表から分かる通り、100kWの設備を導入する場合の「1kWあたり運転維持費用」は0.48万円です。つまり、100kW分だと48万円になる計算です。
ちなみに、この運転維持費用には以下の項目が含まれています。
①修繕費
②諸費
③一般管理費
④人件費
⑤保険料
100kWの野立てであれば、15年で投資回収が可能!
100kWの設備を導入した場合、ざっくりと15年で投資回収ができる想定です。
投資回収期間の計算は、以下の計算式を使用しています。
・「初期費用 ÷ ( 年間の電気代削減額 – 年間の運転維持費用 )」
ここでは、発電した電気は全部自家消費することを前提に計算しています。
これは、電気代の削減の方が旨みが大きいと判断したためです。なぜなら、買取価格が減少傾向にあり、なおかつ近年電気代が高騰しているためです。
続く章で、各値の詳細を説明します。
初期費用の概算は 1830万円
ここまでみてきた通り、100kWの設備の場合の初期費用は合計で 1,830 万円です。内訳は以下の通りです。
項目 | kW単価 | 小計(100kWの場合) |
---|---|---|
工事費用(万円) | 6.70 | 670 |
土地造成費用(万円) | 0.87 | 87 |
接続費用(万円) | 0.83 | 83 |
設備費用(万円) | 9.90 | 990 |
合計(万円) | ー | 1,830 |
運転維持費用の概算は年間 48万円
運転維持費用の概算は年間で48万円です。詳細は以下の通りです。
項目 | kW単価 | 合計 |
---|---|---|
運転維持費用(万円) | 0.48 | 48 |
発電による、年間の電気代削減効果は 184万円
詳細は以下の通りです。
項目 | 値 | 説明 |
---|---|---|
設置容量(kW) | 100 | 導入する設備容量です |
設備1kWあたりの発電量(kWh) | 1,000 | 設備容量1kWあたりの平均的な発電量です。(太陽光発電協会のデータを参考にしています〕 |
年間発電量(kWh) | 100,000 | 「設備容量 x 設備1kWあたりの発電量」で計算しています。 |
平均電気料金(円 / kWh) | 18.4 | 2022年の高圧電力の平均市場価格です。 |
発電電力の電気代換算(円) | 1,840,000 | 「年間発電量 x 平均電気料金」で計算しています。 |
まとめ
太陽光発電の野立ての費用について、設置費用、運転維持費用に分けて説明しました。また、どのくらいの期間で投資回収ができるのかについてもシミュレーションしました。
初期費用や運転維持費用は、設備容量が大きい分高額ですが、その分電気代削減効果も大きいです。
昨今の不安定な状況では、電気代が大きく変動したり、高止まりする可能性がありビジネスにとっては脅威となりかねません。この機会に、発電設備を導入し、事業の不安定要因を取り除き、長期的に優位性のあるビジネス構造に転換してみてはいかがでしょうか。
今回の記事が、野立ての太陽光発電導入に関する検討の一助になれば嬉しいです。
参考
- 経済産業省・資源エネルギー庁. 「太陽光発電について」. https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/073_01_00.pdf . (参照日:2023年2月23日)
- 経済産業省・資源エネルギー庁. 「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(案)参考資料 」. https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/007/pdf/007_06.pdf . (参照日:2023年2月23日)